【第20則】


   二十 大力量人

松源和尚云、大力量人、因甚擡脚不起。又云、開口不在舌頭上。
無門曰、松源可謂、傾腸倒腹。只是欠人承當。縱饒直下承當、正好來無門處喫痛棒。何故。聻。要識眞金、火裏看。

    頌曰
  擡脚踏翻香水海 低頭俯視四禪天 一箇渾身無處著請、續一句

  二十 大力量(だいりきりょう)の人
松源(しょうげん)和尚云く、「大力量の人、甚に因ってか脚を擡(もた)げ起こさざる」。又云く、「口を開くこと舌頭上(ぜっとうじょう)に在らざる」。

無門曰く、「松源謂(いつ)つべし、腸を傾け腹を倒すと。只だ是れ人の承当(じょうとう)することを欠く。縦饒(たと)い直下に承当するも、正に好し無門 が処に来たって痛棒を喫せんに。何が故ぞ。聻(にい)。真金を識らんと要(ほっ)せば、火裏(かり)に看(み)よ」。

    頌に曰く
脚を擡げて踏翻(とうほん)す香水海(こうずいかい)、頭を低(た)れて俯し視る 四禅天。
一箇の渾身著(つ)くるに処無し、請う、一句を続(つ)げ



「松源和尚が言った------

『悟りを開いた人がいる。なぜ、彼は自分の足で立とうとしないのか?』
『悟りを開いた人がいる。なぜ、彼は自分の口で話そうとしないないのか?』


  『サックスに入って出てこないアル』 白石かずこ

アル は
サックスの中に入って
でてこない


夜がきて 男たちは
ステージにたったが
アルだけは
荒らい音をかかえたまま
少女のように そのくらがりに
ひそんでいる


女は 客席をこわし
ビールを割る
サックス を空にぶつける



星たちに かかえられて
サックスは アルの手足をふきはじめる



   1998/12/16


二十一【雲門屎橛】


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Last-modified: 2021-01-31 (日) 11:44:00