#author("2024-01-11T01:20:07+09:00;1970-01-01T18:00:00+09:00","default:minoru","minoru") [[Poetry in Movies]] #menu(Poetry in Movies) *【映画の中の詩】『剃刀の刃』(1946) &br;&br; CENTER:#htmlinsert(youtube.htm,id=ytWhuvF2DZU) **「僕は今でも、髪に蝶形リボンを結んで、生真面目な顔をしてさ、キーツの詩を読むと、それがとても美しいんで涙で声を震わせていた、痩せっぽちの小娘を、目のあたりに見ることができるよ。今いったいあの人はどこに住んでいるんだろう」 エドマンド・グールディング監督。サマセット・モーム原作。 グールディング監督は『グランド・ホテル』(1932)で有名ですが作曲もこなす才人。 ダンスシーンの伴奏曲「Mam'selle」はさまざまなアーティストにとりあげられてスタンダードナンバーとなっています。 主人公ラリー(タイロン・パワー)の詩を愛する幼友達だったソフィー(アン・バクスター)は不幸が重なり酒に溺れ、最後には何者かに惨殺されてしまいます。 ラリーは彼女の部屋の遺品の中にキーツの詩集を見つけ、彼女との思い出の『あの日は去った The day is gone』を朗読します。 > キーツ『あの日は去った』(出口泰生 訳) > あの日は去った。甘美なものすべては去った。 あまい声 あまい唇 柔らかな手 柔らかな胸 暖かな息 軽いささやき やさしい歌ごえ 輝く瞳 かたちよい姿 ほっそりとしたあの腰。 花も 蕾のきりょうも みな色あせた。 ぼくの目から 美しい姿が 色あせた。 ばくの腕から 美しい姿が 色あせた。 あの声 あの暖かさ あの白さ あの天国も。 > まだそんな時でもないのに タベが来て 消え去った。 > 『キーツ詩集 (世界の詩 ; 33)』出口泰生 訳 https://dl.ndl.go.jp/pid/1672758/1/49 アン・バクスターはこの零落してゆく女性の演技でアカデミー助演女優賞を受賞しています。 参考リンク: 剃刀の鋭き刃は 渡るに難し 賢者の曰く 救済への道 亦かくの如く難しと (カタウパニシャド) 『剃刀の刃』サマセット・モーム著,斎藤三夫訳 https://dl.ndl.go.jp/pid/1698042/1/7 &br;&br; &tag(映画の中の詩);