#menu(): No such page: Poems



Poems

 蟻の葬列


わたしが昨日という木片を削り終えたとき
明日という樹はすでに成長しはじめている
季節はもう移り変わってしまっているのに
気づかないふりをしてわたしは
今日という日を
時期はずれのコートの
不格好な皺をのばすように愛撫する
それだけを
愛していたことがわかるだろう
わたしがいつの日にか
白い花々にかこまれて地に没してゆく時


かつて
わたしは
今日という日を比喩する
何のコトバも持たなかった
今はそれが
たえまなく降る落葉のように
わたしの歩く道を飾る


懐かしんでも
すでに戻る日など
どこにもない
過去は永遠のなかにある
けっして手の届くことのない
永遠のなかに


蟻の葬列はうねり・・・


昨日とも今日とも無縁に
明日という日は
果てしなく自己増殖する
孤独な死体なのだ


トップ   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS