Bergson's Theory of Art by T.E.Hulme
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**ヒューム「ベルグソンの芸術論」
#contents
*1 [#ve30993f]
現代詩はT.E.ヒューム(1883-1917)から始まった、とよく言われ...
ヒュームは二十世紀最初の詩の前衛運動である「イマジズム」...
彼は詩におけるイメージの大切さを熱を込めて主張しました ――...
ヒュームはフランスの哲学者アンリ・ベルクソン(1859-1941)に...
&br;
>「詩の魅力はどこからくるのだろうか。詩人とは彼の心のなか...
([[ベルクソン『時間と自由』:https://amzn.to/39i7J...
&br;
けれどもベルクソンは私たちの通常の経験世界は、心のなかの...
&br;
>「私たちの日々の行動をまさに導いているのは、絶えず動いて...
(同)
&br;
ひとは日常生活では、ピン止めされたようなイメージ、固定観...
たとえばコップを見るたびに次のような意識がわきあがってき...
&br;
>それは底面はもつけれど頂面をもたない一個の円筒状をしてい...
(谷川俊太郎「コップへの不可能な接近」)
&br;
私たちは通常「私たちの個人的な意識の微妙で捉えがたい印象...
私たちが通常「表現」と思っているものなどは、ベルクソンに...
&br;
>「言語がそのようにして降格させた私たちの感情や観念を公衆...
(『時間と自由』)
&br;
だと言います。
&br;
>「もし実在(リアリティ)が感性や意識と直接に接触し得るも...
&br;
「何人も熟知している事実だが、常人は事物をそのあるがまま...
&br;
「われわれの多くは、ものをそのあるがままに見ることなく、...
(T.E.ヒューム「ベルグソンの芸術論」[[『ヒ...
&br;
ヒュームによれば芸術家とは、ものを「ただ、言語として具象...
そういう芸術家の視線、ベルクソンの言う「直接的な視覚、単...
&br;
>「ことばを馬鹿正直に用いたのでは、いつも、ものの独自性が...
……どうしても、新しい比喩や新しい形容語句に案出しなければ...
(同)
&br;
比喩とは異質の要素、通常では遠く離れた関係のものの間に類...
&br;
>もっとも重要なのは、比喩をつくる才能をもつことである。こ...
([[アリストテレース『詩学』:https://amzn...
&br;
ヒュームとともに現代詩は始まった、と言われるのは彼のイメ...
では、二十世紀とは詩にとってどういう時代だったのでしょう...
塚原史は「二十世紀的なものとは何か?」という自身の問いか...
そして、「記号表現=シニフィアンを記号内容=シニフィエに...
&br;
>「こうして、語のシニフィアンとシニフィエとの結びつきがい...
…なぜなら、この切断によって、言語記号が意味作用に拘束され...
([[塚原史『言葉のアヴァンギャルド―ダダと未来派の2...
&br;
また、塚原は、18世紀の王権崩壊は王の権力に根拠を与えてい...
&br;
>「かつての「神」に代わって、今度は「理性」が近代的権力の...
…王権神授説における国王の場合のように特定の人格中に形象化...
(同)
&br;
そしてこの「理性的主体」が詩的言語の領域において「私」の...
二十世紀初頭、「<私>を破壊して、部品交換可能な機械人間...
&br;
>自動車や飛行機の大きなスピードは、遠いさまざまな地点を速...
(F. T. マリネッティ:「新しいスピードの宗教・道徳...
&br;
彼ら二十世紀のアヴァンギャルドたち――未来派、ダダ、シュル...
そして、このすべてを絶対化された「私」という一点に集中し...
&br;
>「[われわれの]武器は、詩においては、構想力(ファンシイ)...
&br;
「構想力(ファンシイ)の方が想像力(イマジネーション)よりも...
(ヒューム『ロマン主義と古典主義』訳]長谷川...
&br;
というヒュームの発言はロマン派を代表する批評家であり詩人...
コウルリッジは「想像力説」によって、「相反する要素の結合...
コウルリッジは詩人のイメージ形成能力を「想像力(イマジネー...
コウルリッジによれば、日の出の情景を、茹でられたエビの色...
&br;
>「ミルトンの『失楽園』(Paradise Lost)の
&br;
……far off their coming shone----
遠く彼方に、彼等は輝いて到来した。
&br;
という詩行は、全体を一つの映像にしているという。ここで想...
コウルリッジはここでミルトンの用いた技法の一つとして、イ...
([[高山信雄著『コウルリッジ研究』:https://amzn.to...
&br;
ここでミルトンが用いた技法の効果によって読者は「全体的な...
&br;
>「コウルリッジはまた、あらゆる哲学体系は一つの法則性をも...
(同)
&br;
しかし、このような「一つの遠近法的な中心」を設定して世界...
ジョン・バージャーは1839年の写真の発明以後、それまでの遠...
ルネッサンス以来、西洋特有の遠近法は、見る者の眼こそが世...
&br;
>「しかし、カメラ、特に映画のカメラは中心など存在しないこ...
([[ジョン・バージャー『イメージ Ways of Seeing-...
&br;
ベラ・バラージュ(1884-1949)は「映画芸術の誕生とともに、た...
&br;
>彼女は教育を受けたインテリだったが、偶然の事情から、活動...
…そこでは、大衆的な喜劇を上映していたのだが、シベリアの少...
「映画は面白かったかい?」と、誰かがたずねた。彼女はしば...
「何てひどいんでしょう」とついに彼女は云った。「所もあろ...
「へえ、いったい、何を見たのかね?」
「人間の体がバラバラにされ、頭や足や手がみんな離ればなれ...
われわれは、グリフィスがハリウッドの映画館ではじめて画...
…見落としてならぬのは、新しい表象を作り出す能力、ひとつの...
([[ベラ・バラージュ『映画の理論』:https://amzn.to...
&br;
瀬戸賢一は『メタファー思考』(講談社現代新書)の中で、さま...
ちなみにこの「明らかにする」というのも「明るい性格」「暗...
&br;
>「視覚が大切なのは、私たちの思考の道具としてのことばのな...
([[瀬戸賢一『メタファー思考』:https://amz...
&br;
「見者であらねばならぬ、自分を見者たらしめねばならぬ」と...
&br;
>[高橋] ロマン主義からサンボリズムへの問題というのは認識...
さらにペイターになると<to see a thing as it seems>とい...
[上島] 印象主義というのは、ものを見るときに、言語の論理...
([[『ロマン主義から象徴主義へ[シンポジウム]英米...
&br;
ロラン・バルトはフローベル(1821-1880)以降、それまでの古典...
&br;
>「古典主義的な言語においては、関連こそが語を導き、それか...
&br;
…それは、無限の自由によって輝き、不確かで可能的な多数の関...
&br;
「…現代の詩は、それとは反対に、言語の関連を破壊し、述語を...
([[ロラン・バルト『エクリチュールの零度』:https:/...
&br;
バルトによれば、「抽象的であって、関連に重点が置かれてい...
&br;
>「古典主義的な連続体は、等しい密度を持ち、同じ情動的な圧...
(同)
&br;
ということになります。
バルトはフローベルやランボー、マラルメ(1842-1898)などを現...
桑原茂夫は[[『チェシャ猫はどこへ行ったか―ルイス・キャロル...
さらに、ちょうど『鏡の国のアリス』が出版される数ヶ月前に...
また『不思議の国のアリス』でウサギ穴に落ちたアリスは、ち...
&br;
> 当然アリスは何度も不安に襲われることになる。自分の体の...
望遠鏡や顕微鏡の飛躍的な発達と写真術の開発というビジュ...
(桑原茂夫『チェシャ猫はどこへ行ったか―ルイ...
&br;
身体の遠近法だけでなく、『アリス』の世界においては、名称...
レンズを通すことによって世界はさかさまの像として印画紙に...
&br;
>
彼女たちは美しいことが何であるかをよく知ってゐて
不意に写真機のなかへ真逆に墜ちて来ます
(パラソルの骨も折らずに)
&br;
(北園克衛「美しい秘密」)
&br;
北園は二十代のころを回想して、
&br;
>「幾何学的な芸術、T.E.ヒュームのオピニヨンに共通した非人...
(「黄色い楕円:一人のVouポエットの記録」)
&br;と書いています。
これらの、シニフィエをもたないシニフィアンのたわむれ、と...
&br;
>「ダダは何も意味しない!」と叫んで、言語を意味から切り離...
そのことをパロディ的に戯画化したのが、新聞記事を切り刻...
「……ダダによる意味との切断は、主体からの距離によって言葉...
([[塚原史『ダダ・シュルレアリスムの時代』:https:/...
&br;
ロートレアモン(1846-1870)の「ミシンと洋傘との手術台のうえ...
&br;
>「まず、さまざまな事物から自己を引きはなし、自己との関連...
&br;
……たとえばマックス・エルンストは、あの有名なイジドール・...
([[イヴ・デュプレシス『シュールレアリスム』:https...
&br;
古代ローマの詩人ホラーティウス(65-8 B.C.)は『詩論』の冒...
&br;
>もし画家が、人間の頭に馬の頸をつないで色とりどりの羽を身...
([[ホラーティウス『詩論』:https://amzn.to/39iyXe...
&br;
と詩における自由な表現の行きすぎを諫めています。
これに対して西脇順三郎は、「もしホラーチュウスが今日のシ...
&br;
>シュルレアリストの世界は、サンボリストの音の世界でもなく...
……吾々が樹や牛をみると同様にその言葉は単にその言葉として...
([[西脇順三郎「シュルレアリスム文学論」:https://a...
&br;
と書き、シュルレアリスム運動を「所謂イマジストの運動であ...
&br;
>「それで「自動記述」の実験でわかってきたことは、どうやら...
&br;
「主観的な幻想を描くのがシュルレアリスムだという定義は明...
([[巌谷 国士『シュルレアリスムとは何か』:https://...
&br;
「私の意識全体を揺り動かすのではなく、その代わりにその意...
&br;
>こうして「詩人の活動」というものが「超自然」の神秘にまで...
&br;
ベルグソンの全作品は、知性の限界をはっきりと浮かびあがら...
(イヴ・デュプレシス『シュールレアリスム』[訳]稲田...
* 2 [#sba08b2d]
西脇順三郎は『雑草と記憶』というエッセイのなかで、
&br;
>私など自然の風情を愛する気持ちは全く vision であって tho...
&br;
と述べていますが、ヒュームもまたロマン主義者たちが神秘性...
&br;
>
夜更けて ものしずかなドッグの上に
中空高くそびえたつ帆柱の索具にからまって、
月がかかっている。あんなに遙かに思われたものも、
なんのことない、子供の置き忘れた風船のようだ――。
&br;
(T.E.ヒューム「ドックの上に」[訳]長谷川鑛平:法政...
&br;
未来派もまたロマン主義的な月のイメージに反発します。彼ら...
&br;
>高原の空気のようにとらえどころのない孤独のなかで、叫び声...
&br;
「月の光を殺そう!」
&br;
いく人かの者たちが近くの滝へと駆けつけた。いくつかの巨大...
&br;
このようにして、三百もの電気の月が、目をくらますその白亜...
(マリネッティ「月の光を殺そう」[訳]佐藤三夫 http://ho...
&br;
稲垣足穂(1900-1977)は十代のころ未来派芸術に出会い衝撃を受...
未来派のマニフェスト文を写し取って教科書の間に挟んでいた...
&br;
>
ある夜倉庫のかげで聞いた話
&br;
「お月様が出ているね」
「あいつはブリキ製です」
「なに、ブリキ製だって?」
「ええどうせ旦那 ニッケルメッキですよ」(自分が聞いた...
&br;
(稲垣足穂「一千一秒物語」)
&br;
マリネッティたち月光抹殺者と違って、足穂はあくまでも「月...
足穂のファンシーなイメージ、「物そのものとして物を見る」...
&br;
>あれをどうしようかと思う時に、「時間」の意識が生まれる。...
悪人というのは「時間のしもべ」である。彼はすべてにおいて...
&br;
彼らはひたすらに「自分の時間」の延長を願っている。彼らは...
&br;
ろくでもないものだけが開発されて、「本来的なもの」は常に...
&br;
われわれは技術的に物を見るのではなく、物そのものとして物...
&br;
(稲垣足穂「視る!」)
&br;
>われわれがいったん意志を断滅したならば、人生はおぼろに淡...
&br;
何事にせよ、それが真のオブジェであるうちは世間からは顧み...
(稲垣足穂「オブジェ・モビール」)
&br;
現代詩に大きな影響を与えたヒュームですが、自身は作家とい...
実際にイマジズムを主導し、そのイメージの詩学を発展させた...
&br;
>イメージは詩人の絵の具である――そのことを心によく留めてか...
&br;
……形と色彩の言語についてのカンディンスキーの文章を読んだ...
&br;
精神(マインド)と呼ぶに値する精神の持ち主なら、だれも既存...
&br;
あらゆる詩的言語は探究の言語である。低級な詩作が行われは...
&br;
(エズラ・パウンド「ヴォーティシズム」[訳]新倉俊一...
&br;
このようなパウンドの姿勢はベルクソンが「われわれがさまざ...
&br;
>われわれが物に対するわれわれの知覚よりも高いところにのぼ...
そうすれば、われわれは感覚や意識の与えられた条件を少しも...
(ベルクソン「変化の知覚」)
&br;
抽象化を嫌い、純粋な感覚のみを記述しようとするのはイマジ...
二十世紀芸術のさまざまな技法もこの純粋感覚に達するための...
&br;
>「フローベルが、美しい小説はとくにこれという主題のない小...
「彼らは具象レベルに留まるために、論理や体系を拒絶して、...
[[野中涼「歩く文化座る文化―比較文学論」:https://a...
&br;
パウンドがそのイメージの詩学を確立するにあたって大きな示...
&br;
>
落花枝にかへると見れば胡蝶かな
&br;
という守武の句の英訳、
&br;
>
The fallen blossom flies back to its branch: A butter...
&br;
にインスパイアされたパウンドは日本の俳句を手本にして次の...
&br;
>
The apparition of these faces in the crowd: Petals on...
&br;
人混みのなかのさまざまな顔のまぼろし
濡れた黒い枝の花びら
&br;
よけいな説明や観念を避けてイメージにまたイメージを重ねる...
「偉大な文学とはまさに能うかぎり意味を充電させた言語であ...
ヒュームやパウンドから強い影響を受けたT.S.エリオット(1888...
&br;
>
シュタルンベルガ・ゼー湖の向うから
夏が夕立をつれて急に襲って来た。
僕たちは廻廊で雨宿りをして
日が出てから公園に行ってコーヒーを
飲んで一時間ほど話した。
「あたしはロシア人ではありません
リトゥアニア出の立派なドイツ人です」
子供の時、いとこになる大公の家に
滞在(とま)っていた頃大公はあたしを橇(そり)に
のせて遊びに出かけたが怖かった。
マリーア、マリーア、しっかりつかまって
と彼は言った。そして滑っておりた。
あの山の中にいるとのんびりした気分になれます、
夜は大がい本を読み冬になると南へ行きます
&br;
「荒地」T.S.エリオット(西脇順三郎 訳)
&br;
このエリオットもまたベルクソン哲学によって自らの考えを深...
* 3 [#t3717191]
ワーズワスの「詩とは力強い情感がおのずから溢れ出たもの」...
ヒュームに言わせれば「ロマン主義」というのは、コトバの病...
&br;
> 「宇宙の包括的な機構(しくみ)を見出すには一つの困難があ...
&br;
「絶対者は、完全なものと言うべきでなく、よし存するとして...
……世界は、言語を絶したもの、すなわち、棋子(こま)には帰着...
&br;
「ただ孤立している箇所箇所のみが価値をもっているように思...
&br;
「支配的な比喩で全然誤っているのは、取りのぞかなくてはな...
……しかし、眼は泥土の中にある、眼は泥土なのである。純粋に...
&br;
(T.E.ヒューム「燃えがら ― 新しき世界」/『ヒューマ...
&br;
世界を有機的な精神を持つ「ひとつ」のもの、湧き出てくる泉...
「意味するもの」に対する「意味されるもの」、「主語」に対...
そのような遠近法を破壊することでモダニストたちは「純粋詩...
&br;
>「詩は脳髄の中に一つの真空なる砂漠を構成してその中へ現実...
西脇順三郎(「馥郁タル火夫ヨ」序文)
&br;
英国留学中にパウンドなどを通じてイマジズムを知った西脇順...
しかし、
&br;
>「『オブジェー』の詩をつくる作者は非個性的になるべく外面...
([[西脇順三郎「詩人の肖像」/『日本の詩歌25』:http...
&br;
というような西脇の詩観は、ロマン主義的な「深さ」を希求す...
&br;
>「心に真のポエジイを持たないところの、遊びのための技芸家...
&br;
というのは萩原朔太郎が西脇に投げつけたコトバです。
&br;
>「意味の深さは感情の深さに比例し、より情線に振動をあたえ...
&br;
「主観主義者の観照は、常に感情と共に働き、感情の中に融化...
&br;
「どんな観照に徹した写実主義の文学すら、その真理の深さに...
&br;
萩原朔太郎『詩の原理』
&br;
という朔太郎のロマン主義の詩学からすれば、
&br;
>「透明な思考というのは論理的に透明というのではなく絵画的...
透明な思考を使用した文学作品はその作品の意味を不透明にす...
&br;
「……美のための芸術という考えは宝石に加工することであるに...
&br;
「新しいボヘミアニズムは理智のボヘミアンである。ルイスや...
……我々は時々メロンに花が咲く夢をみるほどに理智のボヘミア...
&br;
西脇順三郎『文学青年の世界』
&br;
というような西脇のモダニズムの詩学が受け入れがたいものだ...
&br;
>「私の詩風はおだやかにして古風である。これは情想のすなほ...
&br;
と詩集『青猫』の序文で自己規定した朔太郎からみれば、「オ...
モダニズム詩のスポークスマン的存在であった春山行夫は、こ...
&br;
>「[萩原朔太郎]氏はその詩論にあっては
1 詩の歴史的概念
2 それのポエジイとしての批判的位置
といふ二つの基礎条件に於てすら、いつも既に第一の歴史的概...
&br;
「云ふ勿れ、云ふ勿れ、かういふ、わかりきつた歴史的概念の...
ポエジイなきものの標本よ!
おんみの変態と反動との中において
おんみの脳髄を腐らせよ!」
&br;
春山行夫「ポエジイとは何であるか ―― 高速度詩論 ...
&br;
春山行夫は、
&br;
>「意味のない詩を書くことによって、ポエジイの純粋は実験さ...
&br;
と言って詩に意味を求めず、いわゆるフォルマリスムと呼ばれ...
&br;
>
*
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
&br;
ぼくはこの春山の詩に、合わせ鏡を覗き込んだときに襲われる...
これは「深さ」のない奈落です。
&br;
>少女死するまで炎天の縄跳びのみづからの円駆け抜けられぬ
&br;
という塚本邦雄の歌さながら、鏡の世界に拘束された少女は表...
そしてこの詩はハンス・アルプ(1886-1966)とダダについてのウ...
&br;
>「『自分自身と対決させられるとき、人は何者と向かい合うの...
&br;
『無意味の只中でわれわれは意味の喪失にとり囲まれているが...
&br;
かくて「私」とは、無底の鏡をのぞく無限反射の遊戯のごとき...
&br;
「私たちの生は、ことごとく、虚無のあくなき飢渇をいやすた...
&br;
([[種村季弘「賽を投げる男」/『ナンセンス詩人の肖...
&br;
旧詩壇の抵抗にあらがいながらも春山らは果敢な実験的試みを...
そして、戦後においては、戦時下の戦争協力詩への反省から詩...
&br;
>
詩人の不幸はいつからはじまった
えらい先生が
詩は批評でなけりゃいけないなんて
おっしゃった日からよ
そんな意見はさらりときき流して
あまやかに歌いましょうか 愛(アムール)を
でも でも それが
どうして出来なくなったのでしょうね
&br;
新川和江「Chanson」
&br;
と新川を嘆かせた、いわゆる「戦後詩」の文脈のなかで、「ダ...
#hr
([[世界の詩論/ヒューム「ベルグソンの芸術論」(2)>Bergson's...
&br;
&tag(モダニズム);
&tag(西脇順三郎);
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**ヒューム「ベルグソンの芸術論」
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*1 [#ve30993f]
現代詩はT.E.ヒューム(1883-1917)から始まった、とよく言われ...
ヒュームは二十世紀最初の詩の前衛運動である「イマジズム」...
彼は詩におけるイメージの大切さを熱を込めて主張しました ――...
ヒュームはフランスの哲学者アンリ・ベルクソン(1859-1941)に...
&br;
>「詩の魅力はどこからくるのだろうか。詩人とは彼の心のなか...
([[ベルクソン『時間と自由』:https://amzn.to/39i7J...
&br;
けれどもベルクソンは私たちの通常の経験世界は、心のなかの...
&br;
>「私たちの日々の行動をまさに導いているのは、絶えず動いて...
(同)
&br;
ひとは日常生活では、ピン止めされたようなイメージ、固定観...
たとえばコップを見るたびに次のような意識がわきあがってき...
&br;
>それは底面はもつけれど頂面をもたない一個の円筒状をしてい...
(谷川俊太郎「コップへの不可能な接近」)
&br;
私たちは通常「私たちの個人的な意識の微妙で捉えがたい印象...
私たちが通常「表現」と思っているものなどは、ベルクソンに...
&br;
>「言語がそのようにして降格させた私たちの感情や観念を公衆...
(『時間と自由』)
&br;
だと言います。
&br;
>「もし実在(リアリティ)が感性や意識と直接に接触し得るも...
&br;
「何人も熟知している事実だが、常人は事物をそのあるがまま...
&br;
「われわれの多くは、ものをそのあるがままに見ることなく、...
(T.E.ヒューム「ベルグソンの芸術論」[[『ヒ...
&br;
ヒュームによれば芸術家とは、ものを「ただ、言語として具象...
そういう芸術家の視線、ベルクソンの言う「直接的な視覚、単...
&br;
>「ことばを馬鹿正直に用いたのでは、いつも、ものの独自性が...
……どうしても、新しい比喩や新しい形容語句に案出しなければ...
(同)
&br;
比喩とは異質の要素、通常では遠く離れた関係のものの間に類...
&br;
>もっとも重要なのは、比喩をつくる才能をもつことである。こ...
([[アリストテレース『詩学』:https://amzn...
&br;
ヒュームとともに現代詩は始まった、と言われるのは彼のイメ...
では、二十世紀とは詩にとってどういう時代だったのでしょう...
塚原史は「二十世紀的なものとは何か?」という自身の問いか...
そして、「記号表現=シニフィアンを記号内容=シニフィエに...
&br;
>「こうして、語のシニフィアンとシニフィエとの結びつきがい...
…なぜなら、この切断によって、言語記号が意味作用に拘束され...
([[塚原史『言葉のアヴァンギャルド―ダダと未来派の2...
&br;
また、塚原は、18世紀の王権崩壊は王の権力に根拠を与えてい...
&br;
>「かつての「神」に代わって、今度は「理性」が近代的権力の...
…王権神授説における国王の場合のように特定の人格中に形象化...
(同)
&br;
そしてこの「理性的主体」が詩的言語の領域において「私」の...
二十世紀初頭、「<私>を破壊して、部品交換可能な機械人間...
&br;
>自動車や飛行機の大きなスピードは、遠いさまざまな地点を速...
(F. T. マリネッティ:「新しいスピードの宗教・道徳...
&br;
彼ら二十世紀のアヴァンギャルドたち――未来派、ダダ、シュル...
そして、このすべてを絶対化された「私」という一点に集中し...
&br;
>「[われわれの]武器は、詩においては、構想力(ファンシイ)...
&br;
「構想力(ファンシイ)の方が想像力(イマジネーション)よりも...
(ヒューム『ロマン主義と古典主義』訳]長谷川...
&br;
というヒュームの発言はロマン派を代表する批評家であり詩人...
コウルリッジは「想像力説」によって、「相反する要素の結合...
コウルリッジは詩人のイメージ形成能力を「想像力(イマジネー...
コウルリッジによれば、日の出の情景を、茹でられたエビの色...
&br;
>「ミルトンの『失楽園』(Paradise Lost)の
&br;
……far off their coming shone----
遠く彼方に、彼等は輝いて到来した。
&br;
という詩行は、全体を一つの映像にしているという。ここで想...
コウルリッジはここでミルトンの用いた技法の一つとして、イ...
([[高山信雄著『コウルリッジ研究』:https://amzn.to...
&br;
ここでミルトンが用いた技法の効果によって読者は「全体的な...
&br;
>「コウルリッジはまた、あらゆる哲学体系は一つの法則性をも...
(同)
&br;
しかし、このような「一つの遠近法的な中心」を設定して世界...
ジョン・バージャーは1839年の写真の発明以後、それまでの遠...
ルネッサンス以来、西洋特有の遠近法は、見る者の眼こそが世...
&br;
>「しかし、カメラ、特に映画のカメラは中心など存在しないこ...
([[ジョン・バージャー『イメージ Ways of Seeing-...
&br;
ベラ・バラージュ(1884-1949)は「映画芸術の誕生とともに、た...
&br;
>彼女は教育を受けたインテリだったが、偶然の事情から、活動...
…そこでは、大衆的な喜劇を上映していたのだが、シベリアの少...
「映画は面白かったかい?」と、誰かがたずねた。彼女はしば...
「何てひどいんでしょう」とついに彼女は云った。「所もあろ...
「へえ、いったい、何を見たのかね?」
「人間の体がバラバラにされ、頭や足や手がみんな離ればなれ...
われわれは、グリフィスがハリウッドの映画館ではじめて画...
…見落としてならぬのは、新しい表象を作り出す能力、ひとつの...
([[ベラ・バラージュ『映画の理論』:https://amzn.to...
&br;
瀬戸賢一は『メタファー思考』(講談社現代新書)の中で、さま...
ちなみにこの「明らかにする」というのも「明るい性格」「暗...
&br;
>「視覚が大切なのは、私たちの思考の道具としてのことばのな...
([[瀬戸賢一『メタファー思考』:https://amz...
&br;
「見者であらねばならぬ、自分を見者たらしめねばならぬ」と...
&br;
>[高橋] ロマン主義からサンボリズムへの問題というのは認識...
さらにペイターになると<to see a thing as it seems>とい...
[上島] 印象主義というのは、ものを見るときに、言語の論理...
([[『ロマン主義から象徴主義へ[シンポジウム]英米...
&br;
ロラン・バルトはフローベル(1821-1880)以降、それまでの古典...
&br;
>「古典主義的な言語においては、関連こそが語を導き、それか...
&br;
…それは、無限の自由によって輝き、不確かで可能的な多数の関...
&br;
「…現代の詩は、それとは反対に、言語の関連を破壊し、述語を...
([[ロラン・バルト『エクリチュールの零度』:https:/...
&br;
バルトによれば、「抽象的であって、関連に重点が置かれてい...
&br;
>「古典主義的な連続体は、等しい密度を持ち、同じ情動的な圧...
(同)
&br;
ということになります。
バルトはフローベルやランボー、マラルメ(1842-1898)などを現...
桑原茂夫は[[『チェシャ猫はどこへ行ったか―ルイス・キャロル...
さらに、ちょうど『鏡の国のアリス』が出版される数ヶ月前に...
また『不思議の国のアリス』でウサギ穴に落ちたアリスは、ち...
&br;
> 当然アリスは何度も不安に襲われることになる。自分の体の...
望遠鏡や顕微鏡の飛躍的な発達と写真術の開発というビジュ...
(桑原茂夫『チェシャ猫はどこへ行ったか―ルイ...
&br;
身体の遠近法だけでなく、『アリス』の世界においては、名称...
レンズを通すことによって世界はさかさまの像として印画紙に...
&br;
>
彼女たちは美しいことが何であるかをよく知ってゐて
不意に写真機のなかへ真逆に墜ちて来ます
(パラソルの骨も折らずに)
&br;
(北園克衛「美しい秘密」)
&br;
北園は二十代のころを回想して、
&br;
>「幾何学的な芸術、T.E.ヒュームのオピニヨンに共通した非人...
(「黄色い楕円:一人のVouポエットの記録」)
&br;と書いています。
これらの、シニフィエをもたないシニフィアンのたわむれ、と...
&br;
>「ダダは何も意味しない!」と叫んで、言語を意味から切り離...
そのことをパロディ的に戯画化したのが、新聞記事を切り刻...
「……ダダによる意味との切断は、主体からの距離によって言葉...
([[塚原史『ダダ・シュルレアリスムの時代』:https:/...
&br;
ロートレアモン(1846-1870)の「ミシンと洋傘との手術台のうえ...
&br;
>「まず、さまざまな事物から自己を引きはなし、自己との関連...
&br;
……たとえばマックス・エルンストは、あの有名なイジドール・...
([[イヴ・デュプレシス『シュールレアリスム』:https...
&br;
古代ローマの詩人ホラーティウス(65-8 B.C.)は『詩論』の冒...
&br;
>もし画家が、人間の頭に馬の頸をつないで色とりどりの羽を身...
([[ホラーティウス『詩論』:https://amzn.to/39iyXe...
&br;
と詩における自由な表現の行きすぎを諫めています。
これに対して西脇順三郎は、「もしホラーチュウスが今日のシ...
&br;
>シュルレアリストの世界は、サンボリストの音の世界でもなく...
……吾々が樹や牛をみると同様にその言葉は単にその言葉として...
([[西脇順三郎「シュルレアリスム文学論」:https://a...
&br;
と書き、シュルレアリスム運動を「所謂イマジストの運動であ...
&br;
>「それで「自動記述」の実験でわかってきたことは、どうやら...
&br;
「主観的な幻想を描くのがシュルレアリスムだという定義は明...
([[巌谷 国士『シュルレアリスムとは何か』:https://...
&br;
「私の意識全体を揺り動かすのではなく、その代わりにその意...
&br;
>こうして「詩人の活動」というものが「超自然」の神秘にまで...
&br;
ベルグソンの全作品は、知性の限界をはっきりと浮かびあがら...
(イヴ・デュプレシス『シュールレアリスム』[訳]稲田...
* 2 [#sba08b2d]
西脇順三郎は『雑草と記憶』というエッセイのなかで、
&br;
>私など自然の風情を愛する気持ちは全く vision であって tho...
&br;
と述べていますが、ヒュームもまたロマン主義者たちが神秘性...
&br;
>
夜更けて ものしずかなドッグの上に
中空高くそびえたつ帆柱の索具にからまって、
月がかかっている。あんなに遙かに思われたものも、
なんのことない、子供の置き忘れた風船のようだ――。
&br;
(T.E.ヒューム「ドックの上に」[訳]長谷川鑛平:法政...
&br;
未来派もまたロマン主義的な月のイメージに反発します。彼ら...
&br;
>高原の空気のようにとらえどころのない孤独のなかで、叫び声...
&br;
「月の光を殺そう!」
&br;
いく人かの者たちが近くの滝へと駆けつけた。いくつかの巨大...
&br;
このようにして、三百もの電気の月が、目をくらますその白亜...
(マリネッティ「月の光を殺そう」[訳]佐藤三夫 http://ho...
&br;
稲垣足穂(1900-1977)は十代のころ未来派芸術に出会い衝撃を受...
未来派のマニフェスト文を写し取って教科書の間に挟んでいた...
&br;
>
ある夜倉庫のかげで聞いた話
&br;
「お月様が出ているね」
「あいつはブリキ製です」
「なに、ブリキ製だって?」
「ええどうせ旦那 ニッケルメッキですよ」(自分が聞いた...
&br;
(稲垣足穂「一千一秒物語」)
&br;
マリネッティたち月光抹殺者と違って、足穂はあくまでも「月...
足穂のファンシーなイメージ、「物そのものとして物を見る」...
&br;
>あれをどうしようかと思う時に、「時間」の意識が生まれる。...
悪人というのは「時間のしもべ」である。彼はすべてにおいて...
&br;
彼らはひたすらに「自分の時間」の延長を願っている。彼らは...
&br;
ろくでもないものだけが開発されて、「本来的なもの」は常に...
&br;
われわれは技術的に物を見るのではなく、物そのものとして物...
&br;
(稲垣足穂「視る!」)
&br;
>われわれがいったん意志を断滅したならば、人生はおぼろに淡...
&br;
何事にせよ、それが真のオブジェであるうちは世間からは顧み...
(稲垣足穂「オブジェ・モビール」)
&br;
現代詩に大きな影響を与えたヒュームですが、自身は作家とい...
実際にイマジズムを主導し、そのイメージの詩学を発展させた...
&br;
>イメージは詩人の絵の具である――そのことを心によく留めてか...
&br;
……形と色彩の言語についてのカンディンスキーの文章を読んだ...
&br;
精神(マインド)と呼ぶに値する精神の持ち主なら、だれも既存...
&br;
あらゆる詩的言語は探究の言語である。低級な詩作が行われは...
&br;
(エズラ・パウンド「ヴォーティシズム」[訳]新倉俊一...
&br;
このようなパウンドの姿勢はベルクソンが「われわれがさまざ...
&br;
>われわれが物に対するわれわれの知覚よりも高いところにのぼ...
そうすれば、われわれは感覚や意識の与えられた条件を少しも...
(ベルクソン「変化の知覚」)
&br;
抽象化を嫌い、純粋な感覚のみを記述しようとするのはイマジ...
二十世紀芸術のさまざまな技法もこの純粋感覚に達するための...
&br;
>「フローベルが、美しい小説はとくにこれという主題のない小...
「彼らは具象レベルに留まるために、論理や体系を拒絶して、...
[[野中涼「歩く文化座る文化―比較文学論」:https://a...
&br;
パウンドがそのイメージの詩学を確立するにあたって大きな示...
&br;
>
落花枝にかへると見れば胡蝶かな
&br;
という守武の句の英訳、
&br;
>
The fallen blossom flies back to its branch: A butter...
&br;
にインスパイアされたパウンドは日本の俳句を手本にして次の...
&br;
>
The apparition of these faces in the crowd: Petals on...
&br;
人混みのなかのさまざまな顔のまぼろし
濡れた黒い枝の花びら
&br;
よけいな説明や観念を避けてイメージにまたイメージを重ねる...
「偉大な文学とはまさに能うかぎり意味を充電させた言語であ...
ヒュームやパウンドから強い影響を受けたT.S.エリオット(1888...
&br;
>
シュタルンベルガ・ゼー湖の向うから
夏が夕立をつれて急に襲って来た。
僕たちは廻廊で雨宿りをして
日が出てから公園に行ってコーヒーを
飲んで一時間ほど話した。
「あたしはロシア人ではありません
リトゥアニア出の立派なドイツ人です」
子供の時、いとこになる大公の家に
滞在(とま)っていた頃大公はあたしを橇(そり)に
のせて遊びに出かけたが怖かった。
マリーア、マリーア、しっかりつかまって
と彼は言った。そして滑っておりた。
あの山の中にいるとのんびりした気分になれます、
夜は大がい本を読み冬になると南へ行きます
&br;
「荒地」T.S.エリオット(西脇順三郎 訳)
&br;
このエリオットもまたベルクソン哲学によって自らの考えを深...
* 3 [#t3717191]
ワーズワスの「詩とは力強い情感がおのずから溢れ出たもの」...
ヒュームに言わせれば「ロマン主義」というのは、コトバの病...
&br;
> 「宇宙の包括的な機構(しくみ)を見出すには一つの困難があ...
&br;
「絶対者は、完全なものと言うべきでなく、よし存するとして...
……世界は、言語を絶したもの、すなわち、棋子(こま)には帰着...
&br;
「ただ孤立している箇所箇所のみが価値をもっているように思...
&br;
「支配的な比喩で全然誤っているのは、取りのぞかなくてはな...
……しかし、眼は泥土の中にある、眼は泥土なのである。純粋に...
&br;
(T.E.ヒューム「燃えがら ― 新しき世界」/『ヒューマ...
&br;
世界を有機的な精神を持つ「ひとつ」のもの、湧き出てくる泉...
「意味するもの」に対する「意味されるもの」、「主語」に対...
そのような遠近法を破壊することでモダニストたちは「純粋詩...
&br;
>「詩は脳髄の中に一つの真空なる砂漠を構成してその中へ現実...
西脇順三郎(「馥郁タル火夫ヨ」序文)
&br;
英国留学中にパウンドなどを通じてイマジズムを知った西脇順...
しかし、
&br;
>「『オブジェー』の詩をつくる作者は非個性的になるべく外面...
([[西脇順三郎「詩人の肖像」/『日本の詩歌25』:http...
&br;
というような西脇の詩観は、ロマン主義的な「深さ」を希求す...
&br;
>「心に真のポエジイを持たないところの、遊びのための技芸家...
&br;
というのは萩原朔太郎が西脇に投げつけたコトバです。
&br;
>「意味の深さは感情の深さに比例し、より情線に振動をあたえ...
&br;
「主観主義者の観照は、常に感情と共に働き、感情の中に融化...
&br;
「どんな観照に徹した写実主義の文学すら、その真理の深さに...
&br;
萩原朔太郎『詩の原理』
&br;
という朔太郎のロマン主義の詩学からすれば、
&br;
>「透明な思考というのは論理的に透明というのではなく絵画的...
透明な思考を使用した文学作品はその作品の意味を不透明にす...
&br;
「……美のための芸術という考えは宝石に加工することであるに...
&br;
「新しいボヘミアニズムは理智のボヘミアンである。ルイスや...
……我々は時々メロンに花が咲く夢をみるほどに理智のボヘミア...
&br;
西脇順三郎『文学青年の世界』
&br;
というような西脇のモダニズムの詩学が受け入れがたいものだ...
&br;
>「私の詩風はおだやかにして古風である。これは情想のすなほ...
&br;
と詩集『青猫』の序文で自己規定した朔太郎からみれば、「オ...
モダニズム詩のスポークスマン的存在であった春山行夫は、こ...
&br;
>「[萩原朔太郎]氏はその詩論にあっては
1 詩の歴史的概念
2 それのポエジイとしての批判的位置
といふ二つの基礎条件に於てすら、いつも既に第一の歴史的概...
&br;
「云ふ勿れ、云ふ勿れ、かういふ、わかりきつた歴史的概念の...
ポエジイなきものの標本よ!
おんみの変態と反動との中において
おんみの脳髄を腐らせよ!」
&br;
春山行夫「ポエジイとは何であるか ―― 高速度詩論 ...
&br;
春山行夫は、
&br;
>「意味のない詩を書くことによって、ポエジイの純粋は実験さ...
&br;
と言って詩に意味を求めず、いわゆるフォルマリスムと呼ばれ...
&br;
>
*
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白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白い少女 白...
&br;
ぼくはこの春山の詩に、合わせ鏡を覗き込んだときに襲われる...
これは「深さ」のない奈落です。
&br;
>少女死するまで炎天の縄跳びのみづからの円駆け抜けられぬ
&br;
という塚本邦雄の歌さながら、鏡の世界に拘束された少女は表...
そしてこの詩はハンス・アルプ(1886-1966)とダダについてのウ...
&br;
>「『自分自身と対決させられるとき、人は何者と向かい合うの...
&br;
『無意味の只中でわれわれは意味の喪失にとり囲まれているが...
&br;
かくて「私」とは、無底の鏡をのぞく無限反射の遊戯のごとき...
&br;
「私たちの生は、ことごとく、虚無のあくなき飢渇をいやすた...
&br;
([[種村季弘「賽を投げる男」/『ナンセンス詩人の肖...
&br;
旧詩壇の抵抗にあらがいながらも春山らは果敢な実験的試みを...
そして、戦後においては、戦時下の戦争協力詩への反省から詩...
&br;
>
詩人の不幸はいつからはじまった
えらい先生が
詩は批評でなけりゃいけないなんて
おっしゃった日からよ
そんな意見はさらりときき流して
あまやかに歌いましょうか 愛(アムール)を
でも でも それが
どうして出来なくなったのでしょうね
&br;
新川和江「Chanson」
&br;
と新川を嘆かせた、いわゆる「戦後詩」の文脈のなかで、「ダ...
#hr
([[世界の詩論/ヒューム「ベルグソンの芸術論」(2)>Bergson's...
&br;
&tag(モダニズム);
&tag(西脇順三郎);
ページ名: