Anthology/Poems/見えていてすでに海は
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-Poems
> 見えていてすでに海は
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ある麗らかな朝、一行の詩が書物から立ち上がってはるかな水...
&br;
どうも気がすすまないな、と船長の<明海>は捜索本部から渡...
&br;
''し【詩】(1)[文学の一形態として]自然・人情の美しさ、人生...
&br;
こんな不正確な海図はみたことがないよ。「(語りかける)よ...
&br;
「もっと深いところまで探知機を降ろしてみよう」と<批評家...
「そんな必要があるかね。<あいつ>はライト・ヴァースだか...
にらみあう二人に仲裁に入った<明海>が「船の上でもめごと...
&br;
炎昼に海辺のピアノ焼け落ちて音響くとき火宅も踊る
&br;
甲板に立って<詩人>はぼんやりと海を見つめながら考えてい...
いったい<あいつ>はなにが気に入らなかったのだろうか?あ...
&br;
紫陽花や暗き道化の横顔に習いおぼえし賛美歌と接吻(キ...
&br;
若い水夫はさっきから不審に思っていた。
「このゴツゴツと船に当たるのはなんだろう?」
「そりゃあ、コトバの模型さ」といつのまにか後ろに立ってい...
「おまえは初めての航海だったな。このあたりは海流のぐあい...
「なんで棄てるんです」
「さあね’多作多捨’とかいう儀式があるらしいよ。ほんとのコ...
「なるほど。模型で手を慣らしてから、ほんとのコトバに細工...
「いやあ。このごろじゃ、ほんとのコトバは秘仏扱いらしい。...
&br;
とうとう領海のはずれまで来てしまったぞ、と<明海>は憂鬱...
&br;
''てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた。''
(**注)
&br;
というほどの水際だった一行なら可能性もあるだろうが。
そのとき、「見つかったぞ!」という声がした。
&br;
紫陽花と鸚鵡(おうむ)と古き教会とふるさともまたエピ...
&br;
・・・引き揚げられた<あいつ>は水槽の中をいかにも不器用...
<批評家(2)>は水槽に手を入れて「ちょっと外に出して話...
といって<あいつ>を掴まえようとするが掴まえることが出来...
「こんな手荒なことはわたしの美学に反するが・・・」と<批...
<詩人>は「乱暴はやめてくれ」と力無く呟くが手出しはしな...
「ばらばらになっちゃった」「クラゲみたいだ」船のドクター...
その瞬間みんなは言い様のない虚脱感に襲われた。そのため<...
&br;
もうオレはおしまいだ、と<詩人>は甲板を歩きながら思って...
&br;
''私の墓は、私のことばであれば充分。''
(***注)
&br;
なんて言って死んでいったやつがいたっけ。でもオレのコトバ...
意を決した<詩人>は目を瞑って海に身を投げた。ところが・...
「痛い!ウウ・・・どういうことだ(あたりを見回して)おお...
&br;
海よりの風に燭の火蒼く揺るウィリアム・ウィルソンか君...
&br;
それから幾日、幾週間たったろうか。<明海>は船長室で航海...
&br;
十五歳無傷のままの少年の海と少女と花火の記憶
&br;
批評家たちは言葉の海が消えて以来、何も考えられなくなった...
<詩人>は----いまや「元」詩人、と言うべきか----彼は砂の...
何かに取りつかれたように。あわれだ。詩人でなくなっても何...
もし彼がほんとうの詩人だったら、今すぐにでもこの砂漠を海...
&br;
けれども私たちはもうすぐ死ぬだろう。それは覚悟している。...
なぜならこの私自身も誰かによって書かれた、一行の詩にすぎ...
&br;
見えていてすでに海は記憶のなか砂に埋もれる五月のかもめ
&br;
・・・そのころ甲板の上では若い水夫が空を指さして、みんな...
&br;
ごらん! 地平線の彼方から 一羽のかもめが飛んでくる ---...
&br;
&br;
(*注) 新明解国語辞典【第五版】より引用。
(**注) 安西冬衛詩集『軍艦茉莉』より「春」。
(***注)寺山修司『墓場まで何マイル?』(絶筆)...
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ある麗らかな朝、一行の詩が書物から立ち上がってはるかな水...
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どうも気がすすまないな、と船長の<明海>は捜索本部から渡...
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''し【詩】(1)[文学の一形態として]自然・人情の美しさ、人生...
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こんな不正確な海図はみたことがないよ。「(語りかける)よ...
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「もっと深いところまで探知機を降ろしてみよう」と<批評家...
「そんな必要があるかね。<あいつ>はライト・ヴァースだか...
にらみあう二人に仲裁に入った<明海>が「船の上でもめごと...
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炎昼に海辺のピアノ焼け落ちて音響くとき火宅も踊る
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甲板に立って<詩人>はぼんやりと海を見つめながら考えてい...
いったい<あいつ>はなにが気に入らなかったのだろうか?あ...
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紫陽花や暗き道化の横顔に習いおぼえし賛美歌と接吻(キ...
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若い水夫はさっきから不審に思っていた。
「このゴツゴツと船に当たるのはなんだろう?」
「そりゃあ、コトバの模型さ」といつのまにか後ろに立ってい...
「おまえは初めての航海だったな。このあたりは海流のぐあい...
「なんで棄てるんです」
「さあね’多作多捨’とかいう儀式があるらしいよ。ほんとのコ...
「なるほど。模型で手を慣らしてから、ほんとのコトバに細工...
「いやあ。このごろじゃ、ほんとのコトバは秘仏扱いらしい。...
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とうとう領海のはずれまで来てしまったぞ、と<明海>は憂鬱...
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''てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた。''
(**注)
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というほどの水際だった一行なら可能性もあるだろうが。
そのとき、「見つかったぞ!」という声がした。
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紫陽花と鸚鵡(おうむ)と古き教会とふるさともまたエピ...
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・・・引き揚げられた<あいつ>は水槽の中をいかにも不器用...
<批評家(2)>は水槽に手を入れて「ちょっと外に出して話...
といって<あいつ>を掴まえようとするが掴まえることが出来...
「こんな手荒なことはわたしの美学に反するが・・・」と<批...
<詩人>は「乱暴はやめてくれ」と力無く呟くが手出しはしな...
「ばらばらになっちゃった」「クラゲみたいだ」船のドクター...
その瞬間みんなは言い様のない虚脱感に襲われた。そのため<...
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もうオレはおしまいだ、と<詩人>は甲板を歩きながら思って...
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''私の墓は、私のことばであれば充分。''
(***注)
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なんて言って死んでいったやつがいたっけ。でもオレのコトバ...
意を決した<詩人>は目を瞑って海に身を投げた。ところが・...
「痛い!ウウ・・・どういうことだ(あたりを見回して)おお...
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海よりの風に燭の火蒼く揺るウィリアム・ウィルソンか君...
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それから幾日、幾週間たったろうか。<明海>は船長室で航海...
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十五歳無傷のままの少年の海と少女と花火の記憶
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批評家たちは言葉の海が消えて以来、何も考えられなくなった...
<詩人>は----いまや「元」詩人、と言うべきか----彼は砂の...
何かに取りつかれたように。あわれだ。詩人でなくなっても何...
もし彼がほんとうの詩人だったら、今すぐにでもこの砂漠を海...
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けれども私たちはもうすぐ死ぬだろう。それは覚悟している。...
なぜならこの私自身も誰かによって書かれた、一行の詩にすぎ...
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見えていてすでに海は記憶のなか砂に埋もれる五月のかもめ
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・・・そのころ甲板の上では若い水夫が空を指さして、みんな...
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ごらん! 地平線の彼方から 一羽のかもめが飛んでくる ---...
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(*注) 新明解国語辞典【第五版】より引用。
(**注) 安西冬衛詩集『軍艦茉莉』より「春」。
(***注)寺山修司『墓場まで何マイル?』(絶筆)...
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