Anthology/Poems/ゲームの規則
をテンプレートにして作成
開始行:
#menu(Anthology/Poems)
-Poems
> ゲームの規則
&br;
シルクハットを鏡のなかに投げ入れると
鏡のなかのじぶんが投げ返してくる&br;
さみしい 中年詩人の ひとり遊び&br;
ある朝 いつものように あいさつがわりに
シルクハットを鏡のなかに投げ入れると
鏡のなかの詩人が ひょいと それを アタマに置いて
鏡のなかの部屋のドアを開けて出ていってしまった&br;
詩人は そいつを追っかけて あわてて鏡のなかに 飛び込んだ
その途端 詩人は けむりになって 消えてしまった・・・&br;
<どうしたものかしら> と少女はじぶんのすがたがすっかり...
大きな鏡に息をはきかけては 何度も拭いながらつぶやいた
いくら磨いても 鏡はまるで 内側から白いけむりがかかった...
しかも 街じゅうの鏡という鏡が こんなふうに みんな曇っ...
<おねえさんたちは 窓ガラスやショーウィンドウ コップや...
みんな白いけむりがかかったようで だれもじぶんのすがたを...
<白雪姫は> と少女は考える
<これでイジメられなくなるだろう ナルキッソスも 水仙にな...
だいいち そんなお話はみんな書き換えなければならなくなる...
――― そうはいかないんだよ
という声に 少女は驚いて振り返った 机のうえに一冊の本が...
風に吹かれて ページがめくられていく そのページとページ...
――― 勝手にお話を書き換えられちゃあ わたしらの商売あがっ...
<なんなの!> と少女は恐ろしさと気味悪さで おもわず本...
本はすこしそれると 鏡にあたって床に落ち
鏡には大きなヒビが入ってしまった&br;
すると そのヒビ割れから 白いけむりが抜け出てきたと見る...
ひとりの中年の紳士が 少女の前に立っていた&br;
――― やあ どうも こいつを
詩人は ひょいと シルクハットをアタマに置き
――― やっと とりかえせたんでね
というと ドアを開けて外に出ていってしまった&br;
少女は急いで本を拾い上げて開いた
<あら この本は文字がぜんぶ裏返しじゃない>
本のどのページを開いても 文字の左右が逆に印刷されている...
<どうやって読むか しってるわよ>
というと少女は鏡に近づいて(曇りのとれた鏡は ぼうっ と...
<あれ あっちのページも裏返しだよ!>
鏡に映った文字もやっぱり左右が逆になっているのだった
<この鏡ヘンじゃない> といいながら少女は鏡に手を触れよ...
鏡の向こう側の少女も同じ右の手を差し出してきたのだ
<こんなことってないわ! あなたはいったい・・・>
だれ? と問いかけたその瞬間 少女はけむりになってしまっ...
そのころ 鏡の向こう側では……&br;
<どうしたものかしら> と少女はじぶんのすがたがすっかり...
大きな鏡に息をはきかけては 何度も拭いながらつぶやいていた
&br;
終了行:
#menu(Anthology/Poems)
-Poems
> ゲームの規則
&br;
シルクハットを鏡のなかに投げ入れると
鏡のなかのじぶんが投げ返してくる&br;
さみしい 中年詩人の ひとり遊び&br;
ある朝 いつものように あいさつがわりに
シルクハットを鏡のなかに投げ入れると
鏡のなかの詩人が ひょいと それを アタマに置いて
鏡のなかの部屋のドアを開けて出ていってしまった&br;
詩人は そいつを追っかけて あわてて鏡のなかに 飛び込んだ
その途端 詩人は けむりになって 消えてしまった・・・&br;
<どうしたものかしら> と少女はじぶんのすがたがすっかり...
大きな鏡に息をはきかけては 何度も拭いながらつぶやいた
いくら磨いても 鏡はまるで 内側から白いけむりがかかった...
しかも 街じゅうの鏡という鏡が こんなふうに みんな曇っ...
<おねえさんたちは 窓ガラスやショーウィンドウ コップや...
みんな白いけむりがかかったようで だれもじぶんのすがたを...
<白雪姫は> と少女は考える
<これでイジメられなくなるだろう ナルキッソスも 水仙にな...
だいいち そんなお話はみんな書き換えなければならなくなる...
――― そうはいかないんだよ
という声に 少女は驚いて振り返った 机のうえに一冊の本が...
風に吹かれて ページがめくられていく そのページとページ...
――― 勝手にお話を書き換えられちゃあ わたしらの商売あがっ...
<なんなの!> と少女は恐ろしさと気味悪さで おもわず本...
本はすこしそれると 鏡にあたって床に落ち
鏡には大きなヒビが入ってしまった&br;
すると そのヒビ割れから 白いけむりが抜け出てきたと見る...
ひとりの中年の紳士が 少女の前に立っていた&br;
――― やあ どうも こいつを
詩人は ひょいと シルクハットをアタマに置き
――― やっと とりかえせたんでね
というと ドアを開けて外に出ていってしまった&br;
少女は急いで本を拾い上げて開いた
<あら この本は文字がぜんぶ裏返しじゃない>
本のどのページを開いても 文字の左右が逆に印刷されている...
<どうやって読むか しってるわよ>
というと少女は鏡に近づいて(曇りのとれた鏡は ぼうっ と...
<あれ あっちのページも裏返しだよ!>
鏡に映った文字もやっぱり左右が逆になっているのだった
<この鏡ヘンじゃない> といいながら少女は鏡に手を触れよ...
鏡の向こう側の少女も同じ右の手を差し出してきたのだ
<こんなことってないわ! あなたはいったい・・・>
だれ? と問いかけたその瞬間 少女はけむりになってしまっ...
そのころ 鏡の向こう側では……&br;
<どうしたものかしら> と少女はじぶんのすがたがすっかり...
大きな鏡に息をはきかけては 何度も拭いながらつぶやいていた
&br;
ページ名: