言ふなかれ、君よ、わかれを、
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///詩人の戦争協力 2022/08/13
「大東亞戰爭に就いて」という文章で白秋は「 詩歌を以て愛國...
>「短歌表現の限界といふことを考へよ。その本質について省察...
語韻を思ひ、語勢を思ひ、句々、一首の聲調に深く思を致し、...
しかし、そんな白秋が書いたのは次のような詩でした。
>
『海軍魂』 北原白秋
>
1
皮を斬らして肉を斬り
肉を斬らして骨を斬る
必殺の劍君知るか。
これだ、この膽、この捨身。
>
2
Zかかげたむかしから
守りつたへたこのおしへ。
百發しかも百中の
腕だ、この的、この狙ひ。
>
3
敢て真向ふ敵にして
比率が何ぞ、量何ぞ、
轟沈、爆破、だァ んだんと
今だ、この弾、この気ぐみ。
>
4
水づく屍と覺悟すりゃ
いつもほがらな面だましい。
とどめだ敵を刺すまでは
死ぬな、この時、この誠。
>
5
皮を斬らして肉を斬り
肉を斬らして骨を斬る。
必殺の意氣、君知るか、
これだ、この膽、この捨身。
この詩は『大東亜戦争少国民詩集』 (北原白秋著、朝日新聞社,...
私がこの詩集を読んで注目したのは、その内容よりもむしろ朝...
>「集められた一聯の詩は表題の示すやうに、聖戦に感激した著...
>
詩はかつて、青白き感傷と抒情の紲(きずな)に自由を縛られて...
これまでの詩は青白い感傷とひ弱で不健康な美意識に縛られて...
こういうのを読むと詩歌などというものが「健康で逞しい精神...
それまで日陰者の存在であった自分たちが突然、光栄ある聖戦...
日本の抒情詩を代表する存在であったいわゆる「四季派」のひ...
>
『南洋を望んで』 丸山薫
>
>
われ一億の民草のなか
名無く貧しき詩人なれど
けふの日ぞ氣宇おほろかに
太平洋の渚に立ち
南なる水平線を畫板にして
雄渾なる素描をこゝろみみんとする
>
わが眼には不思議に見ゆれ
茫々千餘理の雲波のかなた
密林生える常夏の嶽と岬
爪哇、ボルネオ、セレベス、比律賓
マレー、グワム、ウエーキ、布哇ら
みなわが引く線の基點なり
>
わが企つる繪のこころは何ぞ
いまだ過ぎし世の何人も夢想せざりし
飛躍日本の切なる希ひ
わが描かんとする繪の姿はなんぞ
これぞ、われら、民族に漲る力
大東亞和樂建設の未來なれ
>
見よ、いまわが濃藍なる畫板の前
昨日まで浮びゐし惑はしの薄繪
欺瞞の文明、搾取の繁榮
米英資本の影映せる蜃氣楼は
わが旭日の意慾の前に消え失せた。
わが旭日の理想の前に消え失せた。
>
(『愛国詩集』日本放送出版協会, 1942)
これから自分が描くのは民族のみなぎる力と意欲と理想による...
これは時局に望む姿勢の象徴であると同時に自らの詩法の転換...
このような詩人たちを使って『辻詩集』(日本文学報国会編) 、...
『戦争詩集』 (大阪詩人倶楽部, 1939)というアンソロジーが...
>「先日大阪詩人俱樂部發行の「戰爭詩集」といふものの寄贈を...
はじめに紹介した白秋の懸念と似たようなことを三好もまた言...
> 『アメリカ太平洋艦隊は全滅せり』 三好達治
>
ああその恫喝
ああその示威
ああその經濟封鎖
ああそのABCD線
笑ふべし 脂肪過多デモクラシー大統領が
飴よりもなお甘かりけん 昨夜の魂膽のことごとくは
アメリカ太平洋艦隊は全滅せり!
荒天萬里の外
激浪天を拍つの間に馳驅すべかりし
ああその凡庸提督キンメル麾下の艨艟は
一夜の熟睡の後
かしこ波しづかな眞珠灣内ふかく
舳艫相含みて沈沒せり
げにや一朝有事の日
彼らの光榮のさなかにあつて
ああその百の巨砲は
つひに彼らの黄金の沈默をまもりつつ海底に沈み橫はれるなり
日東眞男兒帝國 一たび雷霆の軍を放つや
彼らの濳水艦はとこしへに濳水し
彼らの航空母艦は鞠躬如(きくきうじよ)として遁走せり
而してその空軍の百千の燕雀もまた
空しく地上に格納庫中に炎上せり
笑ふべし 脂肪過多デモクラシー大統領が
飴よりもなお甘かりけん 昨夜の魂膽のことごとくは
アメリカ太平洋艦隊は全滅せり!
然り 無用の兵を耀かすもの 必ず滅ぶ!
速かに彼らはその價をもて一の金言をあがなひて
而して 咄 われらの海洋の外に立去るべし!
>
>
(『愛国詩集』日本放送出版協会, 1942)
三好は「ここはお國を何百里」という軍歌について、雑誌『文...
>「聞くところによるとこの軍歌は、ある聯隊に於てはその歌詞...
「彼らの青年兵士たちがこの軍歌を愛唱するのは、決してその ...
と書いているように、詩に対してイデオロギーではなく、何よ...
そんな三好を杉山平一は「三好達治の詩と人柄」(『杉山平一...
>「三好さんはたしかに「討て、米英」という詩を書かれた。私...
「普通の詩と一緒に同列に並べて批判するのはちょっと酷、気...
杉山の校歌だから普段の自分の詩法とかけ離れるのはしょうが...
例えば、「信濃川 静かに流れよ 我が歌の尽くるまで・・・」 ...
>「最後は「信濃川 静かに流れよ」という小千谷高等学校の校...
もちろん校歌と戦意高揚詩では 締め付けの度合いは全く違うで...
「戦意高揚詩」と「普通の詩」の落差については戦後派詩人の...
中地清は詩、小説など複数の著作を持ち『戦陣の瞑想』( 中地...
高崎は専門詩人たちの戦意高揚詩を「無内容な侵略詩」と断じ...
しかし私はあえて詩人たちの戦意高揚詩を読み直すことでも有...
戦意高揚詩のなかには進軍ラッパのような勇ましいだけの詩と...
>『一枚の地圖』 壺田花子
>
地圖がこんなに美しいものとは 思はなかつた。
『お母さん ルソン島ってこれね』 小さな子がニュースの度毎...
見やすい樣に戰争の日から貼つた地圖、
一枚の地圖の上で、
兵隊さんが紅葉のやうな 血を流している。
鋼鐵の砂礫を浴び 岩山を這ひ登ってゐる。
>
神通力を持つた兵隊さん、
神のつばさを持った兵隊さん、
>
貴方の必死な一弾に敵艦は笹舟よりもろい、
子供達はバンザイを叫ぶ。
思つても凄絶な敵前上陸に、
私は美しい涙を流す。
うまいあたたかな朝飯をよそひながら、
兵隊さん 私達の心もみな一つだと思ふ。
いざとなったら お味噌汁に梅干、
おこうこと鰹節で 十分しのげさうだ、
大地震の經驗が私達をこんなに強く鍛へてゐる。
>
冬の日本列島 風なく良い年の瀬の日が續く。
めつきり元氣になつた子供達、
今日はお餅切りを手傅つてお呉れ、
さあ日本は
世界一の良い正月を迎へるのだよ
>
>
(『大東亜戦争愛国詩歌集. 1 (詩歌翼賛特輯)』 大政翼賛...
まあ、「兵隊さんが紅葉のやうな血を流している」とか「私は...
>
『子供と五月の花』 壺田花子
>
「野薔薇」
>
キリスト様の白い裳(もすそ)の匂いがする。
日曜學校の繪カード。
子供よ 痛い、
摘むのはお止し。
大人は心の刺まで傷むようだ。
蜂のように 匂いを嗅げばそれで良い。
>
「クローバー」
>
花束を編もう。
首飾りを こしらえよう。
大切なお母さんに。
優しいお姉さんに。
世界中の無名戦士に。
>
そのあとでわれわれは
縄とびをして遊ぶ。
白い美しい花の縄でーー。
>
>
(『現代日本詩集』現代日本詩歌集刊行会編 、南風書房,...
この詩だけを単独で読むと、どうということもない詩で、薔薇...
5年の間に神は「天皇陛下」から「キリストさま」に、大東亜共...
このあからさまな変節ぶりにある人は憤慨し、またある人は冷...
しかし そういうことよりも私が 異様に感じたと言ったのは、...
変わらず、精神の激しい葛藤のあともうかがえないということ...
さらに言えば 二つの詩に共通する自らの世界を美しく描こうと...
よく、自分たちは軍国教育に洗脳されていたのだ、そして敗戦...
そんなことを考えるきっかけとしても戦中詩を読むことは無駄...
戦時中の戦意高揚詩は多くは時局に迎合したキャンペーンのよ...
稀にそういう詩に出会うと川原の石の中から自分だけの宝石を...
例えば大木惇夫という人などは『わが祖国の詩 : 青年と日本愛...
この詩はかなり有名な詩なので宝探しというほどでもないので...
>『戰友別盃の歌ー南支那海の船上にて』 大木惇夫
>
言ふなかれ、君よ、わかれを、
世の常を、また生き死にを、
>
海原のはるけき果てに
今や、はた何をか言はん、
熱き血を捧ぐる者の
大いなる胸を叩けよ。
>
満月を盃(はい)にくだきて
暫し、たゞ酔ひて勢(きほ)へよ
わが征くはバタビヤの街
君はよくバンドンを突け、
この夕べ相離(あひさか)るとも
かがやかし南十字を
いつの夜かまた共に見ん、
>
言ふなかれ、君よ、わかれを、
見よ、空と水うつところ
默々と雲は行き雲はゆけるを。
<参考リンク>
文中でとりあげた本へのリンクを順に紹介しています。国立国...
『大東亜戦争少国民詩集』 国立国会図書館/図書館・個人送信...
『白秋歌話』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書 北...
「大東亞戰爭に就いて」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid...
『愛国詩集』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書
日本放送協会 編 (日本放送出版協会, 1942)
「目次:南洋を望んで」丸山薰 https://dl.ndl.go.jp/info:nd...
『大東亜戦争愛国詩歌集. 1 (詩歌翼賛特輯)』 国立国会図書館...
『嗚呼特別攻撃隊 』国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図...
『辻詩集』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書 日本...
『国民詩. 第1輯』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図...
『戦争詩集』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書 大...
『新日本. (4月號)』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 ...
「灯下言―詩歌時評 」三好達治 https://dl.ndl.go.jp/i...
『愛国詩集』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書 (日...
「アメリカ太平洋艦隊は全滅せり」三好達治 https://dl.ndl....
『文藝. 5(10);10月號』国立国会図書館/図書館・個人送信限定...
「軍歌雜記」三好達治https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1...
『伊丹万作全集. 第1』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定...
「戦争責任者の問題」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2...
『平成四年度「西脇順三郎先生を偲ぶ会」総会記念講演』目崎...
『英文学の鑑賞』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定図書...
目次:三 スペンサーの「祝婚前曲」 https://dl.ndl.go.jp/info...
「征旅転々 : 中地清詩集 」国立国会図書館/図書館・個人送信...
『戦陣の瞑想』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定図書 中...
『ガダルカナル戦詩集 : 前戦にて一勇士の詠へる』国立国会図...
『大東亜戦争愛国詩歌集. 1 (詩歌翼賛特輯)』 国立国会図書館...
「一枚の地圖・壺田花子」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/p...
『現代日本詩集』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定図書...
「子供と五月の花」 壺田花子 https://dl.ndl.go.jp/info:ndl...
『わが祖国の詩 : 青年と日本愛国詩史』 国立国会図書館/図書...
(青年学生新書 ; 第3) / 野間宏 等著 (理論社, 1952)
「侵略者のうた 大木惇夫・草野心平」 https://dl.ndl.go.jp...
『海原にありて歌へる 』国立国会図書館/図書館・個人送信限...
(大東亞戰爭詩集 ; 第1輯) / 大木惇夫 著 (アジヤラヤ出版部,...
「戰友別盃の歌」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid...
(2022/08/13 現代詩フォーラム)
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[[Essays]]
///詩人の戦争協力 2022/08/13
「大東亞戰爭に就いて」という文章で白秋は「 詩歌を以て愛國...
>「短歌表現の限界といふことを考へよ。その本質について省察...
語韻を思ひ、語勢を思ひ、句々、一首の聲調に深く思を致し、...
しかし、そんな白秋が書いたのは次のような詩でした。
>
『海軍魂』 北原白秋
>
1
皮を斬らして肉を斬り
肉を斬らして骨を斬る
必殺の劍君知るか。
これだ、この膽、この捨身。
>
2
Zかかげたむかしから
守りつたへたこのおしへ。
百發しかも百中の
腕だ、この的、この狙ひ。
>
3
敢て真向ふ敵にして
比率が何ぞ、量何ぞ、
轟沈、爆破、だァ んだんと
今だ、この弾、この気ぐみ。
>
4
水づく屍と覺悟すりゃ
いつもほがらな面だましい。
とどめだ敵を刺すまでは
死ぬな、この時、この誠。
>
5
皮を斬らして肉を斬り
肉を斬らして骨を斬る。
必殺の意氣、君知るか、
これだ、この膽、この捨身。
この詩は『大東亜戦争少国民詩集』 (北原白秋著、朝日新聞社,...
私がこの詩集を読んで注目したのは、その内容よりもむしろ朝...
>「集められた一聯の詩は表題の示すやうに、聖戦に感激した著...
>
詩はかつて、青白き感傷と抒情の紲(きずな)に自由を縛られて...
これまでの詩は青白い感傷とひ弱で不健康な美意識に縛られて...
こういうのを読むと詩歌などというものが「健康で逞しい精神...
それまで日陰者の存在であった自分たちが突然、光栄ある聖戦...
日本の抒情詩を代表する存在であったいわゆる「四季派」のひ...
>
『南洋を望んで』 丸山薫
>
>
われ一億の民草のなか
名無く貧しき詩人なれど
けふの日ぞ氣宇おほろかに
太平洋の渚に立ち
南なる水平線を畫板にして
雄渾なる素描をこゝろみみんとする
>
わが眼には不思議に見ゆれ
茫々千餘理の雲波のかなた
密林生える常夏の嶽と岬
爪哇、ボルネオ、セレベス、比律賓
マレー、グワム、ウエーキ、布哇ら
みなわが引く線の基點なり
>
わが企つる繪のこころは何ぞ
いまだ過ぎし世の何人も夢想せざりし
飛躍日本の切なる希ひ
わが描かんとする繪の姿はなんぞ
これぞ、われら、民族に漲る力
大東亞和樂建設の未來なれ
>
見よ、いまわが濃藍なる畫板の前
昨日まで浮びゐし惑はしの薄繪
欺瞞の文明、搾取の繁榮
米英資本の影映せる蜃氣楼は
わが旭日の意慾の前に消え失せた。
わが旭日の理想の前に消え失せた。
>
(『愛国詩集』日本放送出版協会, 1942)
これから自分が描くのは民族のみなぎる力と意欲と理想による...
これは時局に望む姿勢の象徴であると同時に自らの詩法の転換...
このような詩人たちを使って『辻詩集』(日本文学報国会編) 、...
『戦争詩集』 (大阪詩人倶楽部, 1939)というアンソロジーが...
>「先日大阪詩人俱樂部發行の「戰爭詩集」といふものの寄贈を...
はじめに紹介した白秋の懸念と似たようなことを三好もまた言...
> 『アメリカ太平洋艦隊は全滅せり』 三好達治
>
ああその恫喝
ああその示威
ああその經濟封鎖
ああそのABCD線
笑ふべし 脂肪過多デモクラシー大統領が
飴よりもなお甘かりけん 昨夜の魂膽のことごとくは
アメリカ太平洋艦隊は全滅せり!
荒天萬里の外
激浪天を拍つの間に馳驅すべかりし
ああその凡庸提督キンメル麾下の艨艟は
一夜の熟睡の後
かしこ波しづかな眞珠灣内ふかく
舳艫相含みて沈沒せり
げにや一朝有事の日
彼らの光榮のさなかにあつて
ああその百の巨砲は
つひに彼らの黄金の沈默をまもりつつ海底に沈み橫はれるなり
日東眞男兒帝國 一たび雷霆の軍を放つや
彼らの濳水艦はとこしへに濳水し
彼らの航空母艦は鞠躬如(きくきうじよ)として遁走せり
而してその空軍の百千の燕雀もまた
空しく地上に格納庫中に炎上せり
笑ふべし 脂肪過多デモクラシー大統領が
飴よりもなお甘かりけん 昨夜の魂膽のことごとくは
アメリカ太平洋艦隊は全滅せり!
然り 無用の兵を耀かすもの 必ず滅ぶ!
速かに彼らはその價をもて一の金言をあがなひて
而して 咄 われらの海洋の外に立去るべし!
>
>
(『愛国詩集』日本放送出版協会, 1942)
三好は「ここはお國を何百里」という軍歌について、雑誌『文...
>「聞くところによるとこの軍歌は、ある聯隊に於てはその歌詞...
「彼らの青年兵士たちがこの軍歌を愛唱するのは、決してその ...
と書いているように、詩に対してイデオロギーではなく、何よ...
そんな三好を杉山平一は「三好達治の詩と人柄」(『杉山平一...
>「三好さんはたしかに「討て、米英」という詩を書かれた。私...
「普通の詩と一緒に同列に並べて批判するのはちょっと酷、気...
杉山の校歌だから普段の自分の詩法とかけ離れるのはしょうが...
例えば、「信濃川 静かに流れよ 我が歌の尽くるまで・・・」 ...
>「最後は「信濃川 静かに流れよ」という小千谷高等学校の校...
もちろん校歌と戦意高揚詩では 締め付けの度合いは全く違うで...
「戦意高揚詩」と「普通の詩」の落差については戦後派詩人の...
中地清は詩、小説など複数の著作を持ち『戦陣の瞑想』( 中地...
高崎は専門詩人たちの戦意高揚詩を「無内容な侵略詩」と断じ...
しかし私はあえて詩人たちの戦意高揚詩を読み直すことでも有...
戦意高揚詩のなかには進軍ラッパのような勇ましいだけの詩と...
>『一枚の地圖』 壺田花子
>
地圖がこんなに美しいものとは 思はなかつた。
『お母さん ルソン島ってこれね』 小さな子がニュースの度毎...
見やすい樣に戰争の日から貼つた地圖、
一枚の地圖の上で、
兵隊さんが紅葉のやうな 血を流している。
鋼鐵の砂礫を浴び 岩山を這ひ登ってゐる。
>
神通力を持つた兵隊さん、
神のつばさを持った兵隊さん、
>
貴方の必死な一弾に敵艦は笹舟よりもろい、
子供達はバンザイを叫ぶ。
思つても凄絶な敵前上陸に、
私は美しい涙を流す。
うまいあたたかな朝飯をよそひながら、
兵隊さん 私達の心もみな一つだと思ふ。
いざとなったら お味噌汁に梅干、
おこうこと鰹節で 十分しのげさうだ、
大地震の經驗が私達をこんなに強く鍛へてゐる。
>
冬の日本列島 風なく良い年の瀬の日が續く。
めつきり元氣になつた子供達、
今日はお餅切りを手傅つてお呉れ、
さあ日本は
世界一の良い正月を迎へるのだよ
>
>
(『大東亜戦争愛国詩歌集. 1 (詩歌翼賛特輯)』 大政翼賛...
まあ、「兵隊さんが紅葉のやうな血を流している」とか「私は...
>
『子供と五月の花』 壺田花子
>
「野薔薇」
>
キリスト様の白い裳(もすそ)の匂いがする。
日曜學校の繪カード。
子供よ 痛い、
摘むのはお止し。
大人は心の刺まで傷むようだ。
蜂のように 匂いを嗅げばそれで良い。
>
「クローバー」
>
花束を編もう。
首飾りを こしらえよう。
大切なお母さんに。
優しいお姉さんに。
世界中の無名戦士に。
>
そのあとでわれわれは
縄とびをして遊ぶ。
白い美しい花の縄でーー。
>
>
(『現代日本詩集』現代日本詩歌集刊行会編 、南風書房,...
この詩だけを単独で読むと、どうということもない詩で、薔薇...
5年の間に神は「天皇陛下」から「キリストさま」に、大東亜共...
このあからさまな変節ぶりにある人は憤慨し、またある人は冷...
しかし そういうことよりも私が 異様に感じたと言ったのは、...
変わらず、精神の激しい葛藤のあともうかがえないということ...
さらに言えば 二つの詩に共通する自らの世界を美しく描こうと...
よく、自分たちは軍国教育に洗脳されていたのだ、そして敗戦...
そんなことを考えるきっかけとしても戦中詩を読むことは無駄...
戦時中の戦意高揚詩は多くは時局に迎合したキャンペーンのよ...
稀にそういう詩に出会うと川原の石の中から自分だけの宝石を...
例えば大木惇夫という人などは『わが祖国の詩 : 青年と日本愛...
この詩はかなり有名な詩なので宝探しというほどでもないので...
>『戰友別盃の歌ー南支那海の船上にて』 大木惇夫
>
言ふなかれ、君よ、わかれを、
世の常を、また生き死にを、
>
海原のはるけき果てに
今や、はた何をか言はん、
熱き血を捧ぐる者の
大いなる胸を叩けよ。
>
満月を盃(はい)にくだきて
暫し、たゞ酔ひて勢(きほ)へよ
わが征くはバタビヤの街
君はよくバンドンを突け、
この夕べ相離(あひさか)るとも
かがやかし南十字を
いつの夜かまた共に見ん、
>
言ふなかれ、君よ、わかれを、
見よ、空と水うつところ
默々と雲は行き雲はゆけるを。
<参考リンク>
文中でとりあげた本へのリンクを順に紹介しています。国立国...
『大東亜戦争少国民詩集』 国立国会図書館/図書館・個人送信...
『白秋歌話』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書 北...
「大東亞戰爭に就いて」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid...
『愛国詩集』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書
日本放送協会 編 (日本放送出版協会, 1942)
「目次:南洋を望んで」丸山薰 https://dl.ndl.go.jp/info:nd...
『大東亜戦争愛国詩歌集. 1 (詩歌翼賛特輯)』 国立国会図書館...
『嗚呼特別攻撃隊 』国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図...
『辻詩集』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書 日本...
『国民詩. 第1輯』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図...
『戦争詩集』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書 大...
『新日本. (4月號)』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 ...
「灯下言―詩歌時評 」三好達治 https://dl.ndl.go.jp/i...
『愛国詩集』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定 図書 (日...
「アメリカ太平洋艦隊は全滅せり」三好達治 https://dl.ndl....
『文藝. 5(10);10月號』国立国会図書館/図書館・個人送信限定...
「軍歌雜記」三好達治https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1...
『伊丹万作全集. 第1』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定...
「戦争責任者の問題」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2...
『平成四年度「西脇順三郎先生を偲ぶ会」総会記念講演』目崎...
『英文学の鑑賞』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定図書...
目次:三 スペンサーの「祝婚前曲」 https://dl.ndl.go.jp/info...
「征旅転々 : 中地清詩集 」国立国会図書館/図書館・個人送信...
『戦陣の瞑想』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定図書 中...
『ガダルカナル戦詩集 : 前戦にて一勇士の詠へる』国立国会図...
『大東亜戦争愛国詩歌集. 1 (詩歌翼賛特輯)』 国立国会図書館...
「一枚の地圖・壺田花子」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/p...
『現代日本詩集』 国立国会図書館/図書館・個人送信限定図書...
「子供と五月の花」 壺田花子 https://dl.ndl.go.jp/info:ndl...
『わが祖国の詩 : 青年と日本愛国詩史』 国立国会図書館/図書...
(青年学生新書 ; 第3) / 野間宏 等著 (理論社, 1952)
「侵略者のうた 大木惇夫・草野心平」 https://dl.ndl.go.jp...
『海原にありて歌へる 』国立国会図書館/図書館・個人送信限...
(大東亞戰爭詩集 ; 第1輯) / 大木惇夫 著 (アジヤラヤ出版部,...
「戰友別盃の歌」https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid...
(2022/08/13 現代詩フォーラム)
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