西脇詩の音楽性
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///2022/07/28
倉橋由美子は「大脳の音楽 西脇詩集」(「毒薬としての文学...
>「音楽と言っても朗唱して耳に快いなどということとは関係が...
「詩が魂の感動の叫びであるといった俗説とは無縁の「大脳の...
というように書いていて「脳の回線を思いがけない具合に切っ...
>ここは昔広尾ケ原
すすき真白く穂を出し
水車の隣りに茶屋があり
旅人のあんころ餅ころがす
この曼荼羅の里
&br;
(西脇順三郎「旅人かえらず 165」)
「あんころ餅」と「曼荼羅」というイメージの重なりと同時に...
>やつぱり脳髄は淋しい
実に進歩しない物品である
(西脇順三郎「体裁のいゝ景色(人間時代の遺留品...
「やっぱり・・・淋しい」という音の連なりなら「・・・」の...
西脇自身は、
>「私の詩は朗読されると困る。それどころか声を出して読まれ...
というふうに説明しています。
片桐ユズルが「現代詩とコトバ」(『詩のことばと日常のこと...
>「
こんな日にはあの梨色のタイをつけた
生物学者こそ語るのは
いそギンチャクや山葡萄の
つれない物語だ。
&br;
西脇詩のミリョクはこんな「こそ」「のだ」「も」「だが」「...
「多くの詩人たちはこれとは反対に,文法的には正確に先生の...
というふうに書いているのをむかし読んで、劣等生のじぶんが...
片桐ユズルは「西脇詩の構造」(『西脇順三郎全集別巻』筑摩...
>「パウンド、エリオットの詩は意識のながれである。西脇詩の...
(中略)
彼の詩は、おなじ調子で、福原麟太郎は彼の散文をストラビン...
意識のながれテクニックをつかったため、へたなニホン語で、...
ここに出てくる福原麟太郎は「西脇順三郎の英文学」(『西脇...
>「彼の文章の書き方が自由自在であることは最初に記したとお...
と書いていて、これは西脇の散文についての文章ですが、詩も...
逆に言えば 詩を音楽として捉えようとしない人には西脇詩は永...
そうすると北川透の「西脇順三郎ノート」(『詩と思想の自立 ...
>「
カルモジインの田舎は大理石の産地で
其処で私は夏をすごしたことがあった
&br;
ヒバリもいないし蛇も出ない
ただ青いスモモの薮から太陽が出て
またスモモの薮へ沈む
少年は小川でドルフィンを捉えて笑った
(「太陽」)
&br;
(中略)大理石とか、ドルフィンとかカルモジインとかいうこ...
北川は「ことばを、気にしなくて読めば」とわざわざ断ってい...
しかし西脇自身はことばを大いに気にしていてこの「カルモジ...
>「鎮静剤カルモチンから造った造語。イタリアの大理石の産地...
と造語までして音を作っていることを解説している。
北川は、
>「ぼくの過去は、むしろ西脇とは無縁なところにあった。西脇...
と言っているように西脇詩をうけいれるためには相当の操作が...
富岡多恵子も当初西脇詩をわからず、
>「西脇順三郎氏の詩を、ハタチぐらいではじめてよんだとき、...
もちろん何がどうわかったかわからないが、わからないが突如...
といった経過をたどった結果、
>「この詩人のコトバは音楽である。そしてまた、コトバの意味...
という結論に至った。しかし『詩よ歌よ、さようなら』(集英...
>「わたしは、詩を書いている間、コトバの音楽をおさえつける...
詩をコトバで書いて、活字にし、本にすることは、多かれ少な...
というひとであり、
>「わたしは詩を書いている時、美しいことばを使おうと思った...
とにかくコトバについてつねに考えているような態度のひとで...
そして彼女は「わかるわからないの間にあった、あるぼんやり...
彼女ほどではないにしろ、とにかく何かモノを書こう書きたい...
コトバに対する態度を比べると、ヘタな例えになりますが、小...
最後に篠田一志が「人と文学」(『現代文学大系34 萩原朔太郎...
>「まったくの先入感なしに、詩人は読者に言葉、あるいはイメ...
「一行はこのまま読み下せばよろしい。どんな色のバラが悲し...
「前行とどういう関り合いがあるかと考えることはあまり意味...
「読みかえすとき、ぼくたちの眼前には、なにゆえか、それは...
言いかえれば、いわゆる連想作用によるイメージの構成がここ...
&br;
&br;
<参考>
以下は「国立国会図書館/図書館・個人送信限定図書」で読むこ...
西脇順三郎「旅人かえらず」「脳髄の日記」(『西脇順三郎全...
片桐ユズル「現代詩とコトバ」(『詩のことばと日常のことば...
北川透「西脇順三郎論ノート」(『詩と思想の自立 : 現代詩の...
篠田一志「人と文学」(『現代文学大系34 萩原朔太郎,三好達...
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1668640/233
(2022/07/28 現代詩フォーラム)
&br;
&tag(詩人);
&tag(西脇順三郎);
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///2022/07/28
倉橋由美子は「大脳の音楽 西脇詩集」(「毒薬としての文学...
>「音楽と言っても朗唱して耳に快いなどということとは関係が...
「詩が魂の感動の叫びであるといった俗説とは無縁の「大脳の...
というように書いていて「脳の回線を思いがけない具合に切っ...
>ここは昔広尾ケ原
すすき真白く穂を出し
水車の隣りに茶屋があり
旅人のあんころ餅ころがす
この曼荼羅の里
&br;
(西脇順三郎「旅人かえらず 165」)
「あんころ餅」と「曼荼羅」というイメージの重なりと同時に...
>やつぱり脳髄は淋しい
実に進歩しない物品である
(西脇順三郎「体裁のいゝ景色(人間時代の遺留品...
「やっぱり・・・淋しい」という音の連なりなら「・・・」の...
西脇自身は、
>「私の詩は朗読されると困る。それどころか声を出して読まれ...
というふうに説明しています。
片桐ユズルが「現代詩とコトバ」(『詩のことばと日常のこと...
>「
こんな日にはあの梨色のタイをつけた
生物学者こそ語るのは
いそギンチャクや山葡萄の
つれない物語だ。
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西脇詩のミリョクはこんな「こそ」「のだ」「も」「だが」「...
「多くの詩人たちはこれとは反対に,文法的には正確に先生の...
というふうに書いているのをむかし読んで、劣等生のじぶんが...
片桐ユズルは「西脇詩の構造」(『西脇順三郎全集別巻』筑摩...
>「パウンド、エリオットの詩は意識のながれである。西脇詩の...
(中略)
彼の詩は、おなじ調子で、福原麟太郎は彼の散文をストラビン...
意識のながれテクニックをつかったため、へたなニホン語で、...
ここに出てくる福原麟太郎は「西脇順三郎の英文学」(『西脇...
>「彼の文章の書き方が自由自在であることは最初に記したとお...
と書いていて、これは西脇の散文についての文章ですが、詩も...
逆に言えば 詩を音楽として捉えようとしない人には西脇詩は永...
そうすると北川透の「西脇順三郎ノート」(『詩と思想の自立 ...
>「
カルモジインの田舎は大理石の産地で
其処で私は夏をすごしたことがあった
&br;
ヒバリもいないし蛇も出ない
ただ青いスモモの薮から太陽が出て
またスモモの薮へ沈む
少年は小川でドルフィンを捉えて笑った
(「太陽」)
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(中略)大理石とか、ドルフィンとかカルモジインとかいうこ...
北川は「ことばを、気にしなくて読めば」とわざわざ断ってい...
しかし西脇自身はことばを大いに気にしていてこの「カルモジ...
>「鎮静剤カルモチンから造った造語。イタリアの大理石の産地...
と造語までして音を作っていることを解説している。
北川は、
>「ぼくの過去は、むしろ西脇とは無縁なところにあった。西脇...
と言っているように西脇詩をうけいれるためには相当の操作が...
富岡多恵子も当初西脇詩をわからず、
>「西脇順三郎氏の詩を、ハタチぐらいではじめてよんだとき、...
もちろん何がどうわかったかわからないが、わからないが突如...
といった経過をたどった結果、
>「この詩人のコトバは音楽である。そしてまた、コトバの意味...
という結論に至った。しかし『詩よ歌よ、さようなら』(集英...
>「わたしは、詩を書いている間、コトバの音楽をおさえつける...
詩をコトバで書いて、活字にし、本にすることは、多かれ少な...
というひとであり、
>「わたしは詩を書いている時、美しいことばを使おうと思った...
とにかくコトバについてつねに考えているような態度のひとで...
そして彼女は「わかるわからないの間にあった、あるぼんやり...
彼女ほどではないにしろ、とにかく何かモノを書こう書きたい...
コトバに対する態度を比べると、ヘタな例えになりますが、小...
最後に篠田一志が「人と文学」(『現代文学大系34 萩原朔太郎...
>「まったくの先入感なしに、詩人は読者に言葉、あるいはイメ...
「一行はこのまま読み下せばよろしい。どんな色のバラが悲し...
「前行とどういう関り合いがあるかと考えることはあまり意味...
「読みかえすとき、ぼくたちの眼前には、なにゆえか、それは...
言いかえれば、いわゆる連想作用によるイメージの構成がここ...
&br;
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<参考>
以下は「国立国会図書館/図書館・個人送信限定図書」で読むこ...
西脇順三郎「旅人かえらず」「脳髄の日記」(『西脇順三郎全...
片桐ユズル「現代詩とコトバ」(『詩のことばと日常のことば...
北川透「西脇順三郎論ノート」(『詩と思想の自立 : 現代詩の...
篠田一志「人と文学」(『現代文学大系34 萩原朔太郎,三好達...
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1668640/233
(2022/07/28 現代詩フォーラム)
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