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【第10則】
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    ''十 清税弧貧''~
''曹山和尚、因僧問云、清税弧貧。乞、師賑濟。山云、税闍梨。税、應諾。山曰、青原白家酒、三盞喫了、猶道未沾唇。''
''無門曰、清税輸機、是何心行。曹山具眼、深辨來機。然雖如是、且道、那裏是税闍梨、喫酒處。''
&br;
    ''頌曰''
  ''貧似范丹 氣如項羽''
  ''活計雖無 敢與鬪富''
&br;
        十 清税弧貧&br;
曹山(そうざん)和尚、因みに僧問うて云く、「清税弧貧、乞う、師、賑済(しんさい)したまえ」。山云く、「税闍梨(ぜいじゃり)」。税、応諾す。山曰く、「青原白家(せいげんはっけ)の酒、三盞(さんさん)喫し了って、猶お道う、未だ唇を沾(うるお)さず」と。
無門曰く、清税の輸機(ゆき)、是れ何の心行ぞ。曹山の具眼(ぐげん)、深く来機を弁ず。是(かく)の如くなりと然雖(いえど)も、且らく道え、那裏(なり)か是れ税闍梨の酒を喫する処」。&br;
    頌に曰く
  貧は范丹(はんたん)に似、気は項羽の如し。
  活計(かっけい)無しと雖も、敢えて与(とも)に富を闘わしむ。


&br;
「曹山和尚と清税という僧の対話。&br;

>清税『税はビンボーです。なんとかしてくれませんか』
曹山『税サンや、税サンや』
清税『ハイ』
曹山『あんたはあんなうまい酒を三杯も飲んで、まだ足らんというんかい?』&br;

&br;と。」


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>>   『月の招待』 堀口大学&br;
>   『月の招待』 堀口大学&br;
沈み行くあかつきの赤いお月さまが
私の心にささやいた歌をおきき&br;
心かなしい詩人よ 心かなしい詩人よ
お前は沙漠へ来るがよい
お前の為にもう秘密のない土地(つち)の上に
何故になほとどまらうと云ふのか?
私は私の一番うつくしい光で
夏の短夜のお前の歩行を照らさう。
沙漠には道がない
そこでは凡てが沙(すな)の中に始まり
そして凡てが虚空の中に果てるのだ
そこではお前の歩む所が道になる
そしてお前の足跡は風が消して行く
そこでは沙の一つぶづつは
美しい神秘によって匂ひづけられてゐるのだ
そしてお前は私を望み乍ら
目的のない歩行の快い酩酊を味ふであろう。
元より歩む事は考える事ではない
それは次々に去り行く事物の連続を見ることだ
それは空間に生命を感ずることだ
そして明日 お前は新らしい風景の中へ行くであろう
その道は果てのない単調な道だ
然しお前は知るだろう
歩くことだけでお前の魂が満足することを
何故ならお前は今 すでに秘密を持たぬ地の上で
お前の読んだ書物の為に苦しみ
お前の踏まなかつた道の為に痛んでゐるからだ。
そしてお前の足が疲れた頃に
沙漠の砂丘はお前の為に寝床をつくり
星はお前の為に千万の灯を点ずるであろう
心かなしい詩人よ 心かなしい詩人よ
お前は沙漠の沙の上に来るがよい。&br;
沈み行くあかつきの赤いお月さまが
私の心にささやいた歌をおきき。
&br;


初出 1998/11/29 ニフティサーブ「現代詩フォーラム」
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→[[十一【州勘庵主】>MUMONKAN/州勘庵主]]

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