#author("2024-01-11T01:18:50+09:00;1970-01-01T18:00:00+09:00","default:minoru","minoru") [[Poetry in Movies]] #menu(Poetry in Movies) /// *【映画の中の詩】『イースター・パレード』(1948) &br;&br; CENTER:#htmlinsert(youtube.htm,id=N3U7RMOOpzU) フレッド・アステア&ジュディ・ガーランド。 ショー・ダンスの相方女性に去られてしまったアステアがダンスには素人同然のガーランドを仕込んで見返してやろうとする・・・。というピグマリオン風のストーリー。 客の悩みに対し格言や詩を引用してくれるいきつけの店のマスター。 ジョン・ダンの『DEVOTIONS:17』から。「問うなかれ 誰がために鐘は鳴るやと」とヘミングウェイが引用して有名になった句が含まれる詩です。 いっときはほとんど忘れられかけ、詩史の傍流に追いやられていたジョン・ダンを現代に蘇らせたのはT.S.エリオットでした。 エリオットは、ダンをはじめとした「形而上詩人」たちを「思想を感覚によってじかにとらえることや思想を感情につくりかえ」「別々の離れた経験を合わせて一つに」し、「思想を薔薇のにおいのようにじかに感じ」させる、という有名な例えで称賛し、復権させたのでした。 ダンの詩では、自分たちははなればなれでいるようでも実は一つなのだ、と愛する二人をコンパスの比喩で描いたものがよく知られています。 > ジョン・ダン『別れ・嘆くのをやめよ』(星野徹 訳) > たとえ魂が二つだとしても、その二つは 堅く結ばれたコンパスが二つであるのと同じこと、 おまえの魂は固定した脚、うごく気配がなくても やはり動く、もう一つの脚が動けば。 > それは中心に静止しているが、 それでももう一つが遠くをさまようとき、 その身を傾け、耳をすまし、 帰ってくればまっすぐに立つ。 > おまえはぼくにとってそのようなもの、 ぼくは片方の脚のように、傾いて走らねばならない。 おまえが堅固であればぼくの円は正しく描かれ、 出発したところにまた立ち帰れる。 参考リンク: 『誰がために鐘は鳴る』ヘミングウェイ著、 大久保康雄訳 https://dl.ndl.go.jp/pid/1336440/1/10 『文芸批評論』T.S.エリオット 著、 矢本貞幹訳https://dl.ndl.go.jp/pid/1336819/1/63 『ジョン・ダン詩集』星野徹訳 https://dl.ndl.go.jp/pid/1673605/1/93 &br;&br; &tag(映画の中の詩);