#author("2021-01-23T03:16:38+01:00","","") #menu(Poems) [[Poems]] #author("2021-01-25T05:37:52+01:00","","") #menu(Anthology/Poems) -Poems > 自転車に乗ってさようならといいながら書いた詩&br; &size(10){十五歳抱かれて花粉吹き散らす 寺山修司}; &br; 十五歳の海から とんでくる一羽のかもめ 十五歳の海から きこえてくる潮騒 十五歳の海から およいでくるひとりの少女 &br; わたしの十五歳はあまりに無傷な日々だった &br; 大人になったわたしは 夜になると 十五歳の海から汲んできた ちいさな水槽の水に 魚類図鑑の魚を放してやる &br; 十五歳の海を永遠にしようとして &br; 十五歳の海にあがる花火を 記憶の空に閉じ込める &br; 一本の樹のように わたしのなかに直立している十五歳の海 &br; そのかたわらの 浜辺にうちあげられた 大人のわたし