#author("2021-01-04T03:01:17+01:00","","") [[FrontPage]] #menu(Anthology/poemMenu) &br; > (LIKE A) ROLLING SUMMER ―― ローリング サマー ―― &br; 落ちます 落ちます 空が落ちます&br; 破片になって落っこちてきます&br; 破片はそれぞれ小鳥を飛ばしてます&br; ぼくはお皿に小鳥を飼っていたので&br; そいつを割って逃がしてやりました&br; &br; 君の七月が飛んできます &br; 昼間 青空を瓶詰めにした子供たちは夜になるとベットから浮き上がります&br; 瓶詰めの青空はどこまでも真っ青で&br; それをみつめる黒猫のダブリンの眼も真っ青になりました&br; 寝室の暗闇に光るその眼のなかにも小鳥が飛びますから&br; ダブリンはその小鳥を追っかけて自分の眼の中に墜落していきました&br; &br; ああ なんという欺瞞の季節! 逆立つ夏!&br; 君の七月が飛んできます &br; 不意に誰かが瓶を割ります すると青空は煙のように舞い上がり 子供部屋の天井にきらきら光る青い鏡のように貼りつきました 浮かんでた子供はその鏡をくぐりぬけてあがっていきます 街中の家の屋根のうえには子供たちが浮かんでます &br; 籐椅子で本を閉じたり開いたり 君の七月が飛んできます &br; &br; 台所の戸棚のガラス戸には密告者が棲んでますよ・・・