Anthology/垂直卵(すいちょくたまご)

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  垂直卵(すいちょくたまご)


九月の雨が
どこもかしこもふるので
世界の底も水浸しになる
わたしは牛乳瓶ですくいとって
潜水する
瓶の中を
貧血な垂直卵を抱いて
垂直卵は瀕死でね
だからわたしも急いでた
死ぬことは崩壊していくことじゃなく
増殖していくことさ
それがなぜかなんて教えないよ
わたしにだって
プライバシーの権利があるんだ
どうせわたしの詩なんて
ただのイメージのハミングだし
傘みたいに開いたり閉じたり
意味なんて
ワンタッチですよ
貧血瀕死な垂直卵もね
あんたはなにゆえ存在するか
なんてテツガクしてる場合じゃない
いっしょに抱いて沈んでゆくだけさ
垂直卵を救う方法はそれだけなのさ
本当のことを言おうか(ただし質問は無し)
垂直卵はどこから来たか
それははるかなむかしむかしのこと
昨日のこと、でもかまわない
(かえってこない時はすべて永遠なんだから)
昨日から一週間後のこと、でもかまわない
(考えよ!)


如是我聞。その時卵スックと立って、昇降散華(もとい)焼香散華、一同固唾をのんで控えしにアアソンナンジャナクテコレカラハナスノハタッタヒトツノホントウノホントウノコトデスおれはトラブッちまったおれはモウココデオリナクッチャドコマデモドコマデモイッショニイコウトヤクソクシタノニおれは逃げ出したオレハ悪道ノ中ニ堕チナン無量無辺百千万億ノムカシノカラノヤクソクダッタノニソレヲオレハニゲダシタおおおれは燃えているミヨオレハモエテイルソノ言葉ハ実ニシテ虚シカラズヤおおれは燃えているモエテイル今マサニ我ガ身ヲ現ス。
受けとめよ!


以上(質問は無し)
これ以上はネタがわれちゃう
垂直卵もわれるだろう
もう意味の底まで沈むから
九月の雨はふりつづく・・・


わたしは九月の雨をすくった わたしは
わたしは垂直卵をすくった わたしは
九月の牛乳瓶の底の底
垂直卵をわたしははらんだ